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死に化粧を施すのは、これで何十回目だった。私と云う死体を発見した人がなるべく不快にならない様に、綺麗にしてから死に向かうのが私の信条でもあったのである。
そうした死に化粧を施してから、私は簡単な荷物を持って外へと出た。外へと出れば、真夏日の暑さが変わらずに私を襲って来る。それでも久しぶりに外へと出たあの日よりは、何だか涼しい様な気がしたのだ。
私が向かう先は、あの混雑している大通りであった。人間と云う物は無意識に同じ道を辿る様で、今日が最後だからとわざわざ違う道を通ることも無かった。であるから私は、相も変わらずお祭り騒ぎをしている大通りを人の波に押されながら歩き続ける。
そうして歩き続けて居ると、ふとポケットから通知音が鳴り響いた。私はすぐさまポケットに手を入れ込み、携帯に表示された文字を見る。すると携帯の画面には太宰さんと云う文字と通話ボタンが浮かび上がって居たのだ。私はそれを見てから、迷わず通話ボタンを押す。
『やぁ御早う』
「御早うございます。あの、今どこにいらっしゃるんですか？」
携帯を耳に当てながら、周りの人に当たらない様にして歩き続ける。すると電話口から『君の後ろだよ』と云う聲が聞こえてきた為に、私はバッと後ろに振り返った。しかしそこに太宰さんの姿は無い。私はそれにあれ？ っと思い。電話口に居ませんよと聲を出そうとした時であった。ふと、携帯を手に持っていない方の手を前方から引かれたのだ。
「嘘吐いちゃった」
携帯と目の前から聲が重なって聞こえてきて、私は少し上を見上げた。するとそこには何時もの調子でいる太宰さんが居たのだ。私はそれを確認した後「騙されました」と冗談気味に云い、通話をプツリと切ったのである。
本道から横道へとズレて、私たちは無言のままに歩いた。辺りに人は居らず、それこそ二人だけの空間。そこで別に会話を交わらせる事もなければ、互いにその姿を見合うことは無い。私は彼に連れられているだけで、何処に向かうかは理解していなかった。ただ一つ理解しているのは、もうすぐ死が訪れる事のみ。
「さて、昨日の続きなのだけれど」
そうして横道を歩いてから数分経った頃だろうか。ふと隣を歩く太宰さんが、そう言葉を掛けてきたのだ。私はその言葉を聞いて顔を上げる。昨日の続きと云う事は、あの話の続きなのだろう。昨日のこと以外に、まだ話し終えていない事があったのだろうか。そんな事を思いつつも私は「はい」と答える。
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夢希 道華(プロフ) - ゆかりさん» コメント下さってありがとうございます！そう言って頂けて、とても嬉しい限りです！占いツクールではもう投稿しない予定なのですが、お暇があれば後書きからサイトを覗いて見てやって下さい。それでは失礼致しますね！ (2018年5月6日 6時) (
レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 本格的な小説みたいで良いですね！完結おめでとうございます！ (2018年5月5日 22時) (レス) id: e8168b3b40 (このIDを非表示/違反報告)
夢希 道華(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます。完結迄頑張って行く所存ですので、どうぞ最後まで宜しく御願い。 (2017年12月4日 14時) (レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 話の流れにわくわくさせられて、面白いです!!! (2017年12月3日 22時) (レス) id: a96084b98f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢希道華 | 作成日時：2017年12月2日 15時
