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「突然ですが、私と心中をしてくれませんか」
眼を大きく見開く。それと同時に辺りの景色が一瞬止まった気がした。
次いで質問の意図が読み取れず、私は困惑からか「え」と小さく息を漏らす。一方で眼の前の青年は、相も変わらずニコニコと笑を零していた。正直に云って気味が悪い。これが世に云う不審者なのだろうかと失礼にも思いつつ、私は質問の返答をする為に、と云うかこの場から離れる口実を青年へ話す為に息を吸う。
「えっと、すみませんが私はこれから用事があるので他を当たって下さい」
「嗚呼、それは残念だ。君となら気が合って死ねる気がしたのに」
「え？」
私がこの場から早急に去ろうかと視線を下に向けて、不気味な青年から距離を取ろうとした時である。青年がそれを阻止するかの様にして口を紡いだのだ。私はその紡がれた言葉に一層不信感を高めて行く。しかし次に青年から放たれた言葉に私はまた驚かされるのであった。
「だって死にたいんでしょう、君も」
そう云った彼は、首元トントンと叩いてからこちらにもう一度笑い掛けたのだ。私はそんな彼の行動につられ、自身の首元を携帯のインカメラで慌てて確認する。するとそこには、もう消えたと思っていた赤々しくも薄くなった痣があったのだ。
「絶品だね、ここの洋菓子は」
眼の前には先程の不気味な青年が、まるで大衆を前にして演説をする議員の如く大袈裟な動きをして、如何に洋菓子が美味しいかと云うのを説明していた。私はそんな青年の行動をぼんやりとした眼で見つめるばかり。
「あれ、お菓子は嫌い？」
私が矢張りぼんやりと、これから先どんな理由を付けて此処を去ろうかと考えて居る時。彼がふとそう聞いてきたのだ。私はそんな彼の問に「お腹が空いていないので、良ければどうぞ」と答える。すると彼は「成程ね」と納得して、私の食べる予定であった洋菓子を手で摘んだ。その手は彼の唇へと近付いていく。そうしてパクリと一口でその洋菓子を食べてしまった。
対して私は美味しそうに洋菓子を頬張る彼を他所に考え事をして居た。それは『死にたいんですよね？』と云う言葉の意図だ。先程不気味青年に云われた言葉でもある。確かに云われた通り私は死ねる物なら早急に死にたい、だから青年から放たれた言葉は間違いでは無かった。
問題はその云い草だ。
あの云い草であると、本当に心中をして呉れる人を探している様子である。新手のナンパとか、そう云うのでは無く。そう考えると矢っ張り不審者的な何かだろうかとか、そう云う事が頭を巡った。
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夢希 道華(プロフ) - ゆかりさん» コメント下さってありがとうございます！そう言って頂けて、とても嬉しい限りです！占いツクールではもう投稿しない予定なのですが、お暇があれば後書きからサイトを覗いて見てやって下さい。それでは失礼致しますね！ (2018年5月6日 6時) (
レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 本格的な小説みたいで良いですね！完結おめでとうございます！ (2018年5月5日 22時) (レス) id: e8168b3b40 (このIDを非表示/違反報告)
夢希 道華(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます。完結迄頑張って行く所存ですので、どうぞ最後まで宜しく御願い。 (2017年12月4日 14時) (レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 話の流れにわくわくさせられて、面白いです!!! (2017年12月3日 22時) (レス) id: a96084b98f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢希道華 | 作成日時：2017年12月2日 15時
