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「では私の特質を分かった上で死ねるのだと、そう云ったのですか」
通話口からの返答は無い。私はそれにただならぬ高揚感を覚えた。若しかして、彼は本当に私を死へと導いて呉れるのではないかと云う唯ならぬ期待感が生まれたのだ。その期待感により先程の恐怖心は一気に消え去って行く。
『君が本当に死にたいと思うのならば、もう一度私に電話を掛けて来てよ。ただし、掛けて来たからにはもう後戻りは出来ないからね』
彼がそう云ったと同時に通話が切れたことを意味する音が耳に響いた。しかし私は数秒間それを耳に当てたままに固まり、そうして数秒後耳からそれを離す。通話後にただ頭に残った言葉は彼の「後戻りは出来ないからね」の言葉のみであった。
あまりに悩まされ、睡眠が取れなかった私は寝不足気味のままに目を擦った。その擦る際に触れた顔の皮膚が何時もより生暖かく、矢張り昼間寝てしまわない為にも、今眠るべきだろうかと思い直す。しかし直ぐに今日はどうしても外せない用事がある事を思い出し、眠ると云う選択肢を捨てて私は半ば無理矢理に上体を起こした。
今日は私が彼にとある事を行った時から、丁度一年が経過した日だ。
家の地下。車庫に保管してある新品同然な車のドアを開けて、私は椅子の上へ置かれていた造花の花束を手にしてから外へと出た。
本当はこのまま車に乗って目的地まで行きたかったのだけれど、私は車の免許を取得しては居らず。車に乗って移動をする事は不可能であったのだ。更に自転車は今保有して居ないし、タクシーを呼ぶにもお金をあまり持たない私は、なるべくお金を払う事を避けたかった。結果、結び付いたのは徒歩でその場所まで行くと云う選択である。
「暑い」
そうして何時もながらに街を歩くと、夏の暑い日差しが私の髪の毛を焦がすように照り付けて、あまりの暑さに眠さは何処かへ飛んでいった。今歩いている大通りは相も変わらず人の多さで混雑して居り、私は汗をタラタラと流しながらもその道を歩き続ける。本当は横道へとズレて楽しつつ目的地まで行きたかったのだが。何時太宰さんが現れるか分かったもんじゃ無いのだからと、妥協してこちらの道を通って居るのである。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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夢希 道華(プロフ) - ゆかりさん» コメント下さってありがとうございます！そう言って頂けて、とても嬉しい限りです！占いツクールではもう投稿しない予定なのですが、お暇があれば後書きからサイトを覗いて見てやって下さい。それでは失礼致しますね！ (2018年5月6日 6時) (
レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 本格的な小説みたいで良いですね！完結おめでとうございます！ (2018年5月5日 22時) (レス) id: e8168b3b40 (このIDを非表示/違反報告)
夢希 道華(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます。完結迄頑張って行く所存ですので、どうぞ最後まで宜しく御願い。 (2017年12月4日 14時) (レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 話の流れにわくわくさせられて、面白いです!!! (2017年12月3日 22時) (レス) id: a96084b98f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢希道華 | 作成日時：2017年12月2日 15時
