11 ページ12
「君の彼氏さんは、此処で買い物をしていたそうじゃないか」
振り向きざま、呟く様に云われた彼の言葉に私は電気ショックを浴びたような強い刺激を受けた。そのショックのせいか、彼から放たれた言葉を上手く理解出来なくなる。思考が何時もの様に巡らない。そもそも待て、何故太宰さんが私の彼氏に就いてを知っているのか。だって私と太宰さんはたまたま出会った仲に過ぎないのに、と云う更なる困惑が佛々と生まれて来る中。太宰さんが更に追い打ちをかける様に口を開いたのである。
「特に丸眼鏡が好きだったそうじゃないか、きっと真面目な方だったんだろうね」
笑った。そう私に発言を零した彼がさも優し気に笑を私に向けたのだ。そんな彼の対応に私は唯ピタリとその場に固まるばかり。これでは先程の太宰と立場が逆である。彼は続けて口を開いた。
「君の云いたい事は分かるよ、何で私がそんな事を知って居るのかだろう？ それは君が心中の約束を受けてくれるなら教えてあげるよ」
そう云い終えた太宰さんは固まる私の横をするりと通り抜け、そうして先程歩いて来た道を戻りつつも何処かへと姿を消して行く。一方で私は尚も溢れ出てくる疑問を上手く整理する事が出来ずに、矢張りその場に硬直したままで数分を過ごしたのである。
ふらふらと力無く家に帰ったのは夕刻ごろだった。しっかりと施錠された家の鍵を半ばフワフワとした覚束無い思考のままに解除し、無意識に扉を開け中へと入る。そうすれば仄かに慣れた家の匂いが香ってきて、少しばかり落ち着きを取り戻す事が出来た。
「……何故、太宰さんが私の彼氏に就いて知っているの」
そうして落ち着きを取り戻した私に浮かんだ最初の疑問はそれであった。私と太宰さんは初対面の筈で、偶然出会っただけなのだから、太宰さんが私の彼氏に就いて知る筈も無いのだ。なのにそれを知っていた。それ処か彼の行きつけであった眼鏡店まで知っていると来た。こればかりは偶然と云う言葉では片付けられない事案である。
「じゃあ待って、彼は何処まで知っているの？」
次に出た疑問はそれであった。一体彼は私に就いて何処まで知っているのか、それが不安でならない。もしも私が彼にしでかしたあの事を知り得ていたら？ そう考えると途端に恐怖感が心の底からこみ上げてきた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢希 道華(プロフ) - ゆかりさん» コメント下さってありがとうございます！そう言って頂けて、とても嬉しい限りです！占いツクールではもう投稿しない予定なのですが、お暇があれば後書きからサイトを覗いて見てやって下さい。それでは失礼致しますね！ (2018年5月6日 6時) (
レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 本格的な小説みたいで良いですね！完結おめでとうございます！ (2018年5月5日 22時) (レス) id: e8168b3b40 (このIDを非表示/違反報告)
夢希 道華(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます。完結迄頑張って行く所存ですので、どうぞ最後まで宜しく御願い。 (2017年12月4日 14時) (レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 話の流れにわくわくさせられて、面白いです!!! (2017年12月3日 22時) (レス) id: a96084b98f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢希道華 | 作成日時：2017年12月2日 15時
