96話 ページ22
ミスラ「死んでるんじゃないですか？」
『縁起でもないこと言わないの』
ブラッドリー「いや、生きてるな。よっと……」
ミスラ「助けるんです？」
ブラッドリー「まあな。今の俺は、わけあって、慈善活動が大大大好きだからよ」
『へえー』
ミスラ「囚人も大変ですね。人助けで点を稼がなきゃいけないなんて」
ブラッドリー「早くてめえもぶちこまれりゃいいのにな。──ほら、シュガーだ。食え」
ミスラも捕まったらもう、北の魔法使い恥さらしすぎるね
まあ、人と関わって生きていく必要もないから、良いんだけどさ
行き倒れの旅人「……うぅ……」
ブラッドリー「気がついたか？」
行き倒れの旅人「……っ、ここは……。わっ……」
ブラッドリー「おい、よそ見すんな。こっちを見ろ。おまえの恩人の名前を教えてやる。ブラッドリー・ベイン様だ」
『ねえ、それ恐喝に近いから』
行き倒れの旅人「ブラ……？え……？」
ミスラ「ブラッドでいいですよ。彼の愛称なんです」
ブラッドリー「照れくさい紹介は止めろ」
ミスラ「俺の愛称もあります。賢者様がつけてくれたんですよ」
ん？愛称なんてあったか？
賢者様から愛称で呼ばれてるミスラ見たことないんだけど
ミスラ「ミミって」
『愛らしい愛称だね。ミミ』
ブラッドリー「どんなシチュエーションでそんな愛称つけられんだ」
ミスラ「秘密です。それで、こっちの人は、ラフィです」
『……ああね。なるほどね。……適当すぎでしょ……(ﾎﾞｿｯ)』
ミスラ「それで、あなたの愛称は？」
行き倒れの旅人「えっと……。地元では、ひょうきんサミーって……」
ブラッドリー「あっはは！良かったな、サミー。保護して役人に引き渡してやるから、俺の活躍をしっかり伝えろよ」
……本当に慈善活動？これ
行き倒れの旅人「あ、ありがとうございます！中央の国にある店に帰れたら、どんなお礼でも……。……そうだ！恐ろしい魔女を見たんです！」
ブラッドリー「恐ろしい魔女？別に驚きゃしねえな。恐ろしくねえ魔女なんて、見たことねえしな」
ミスラ「同感ですね」
『逆に恐ろしくない魔女がいるなら見てみたいくらいにわね』
行き倒れの旅人「本当に恐ろしい魔女だったんです！あの魔女には、北のミスラもノワだってかないっこない……！」
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作者名：紅玲
| 作成日時：2024年2月15日 1時
