囚われのノーチェに恋して#21 ページ16
ミア「そう知っていたはずなのに……。結局私も、同じ過ちを犯していたのだな」
ミチル「……っ。そんな、悲しい言い方しなくても──」
ミスラ「あなたの選択も、チレッタの選択も、俺にはよくわかりませんけど。あの人は不幸じゃなかったと思いますよ」
ミチル「ミスラさん……」
ミスラ「南で呑気に暮らしてた、あの人の顔。ムカつくほど、幸せそうでしたから。後悔すらしてないと思いますね」
ミア「……北のミスラが、恋に、理解を示すのか……？」
ミスラ「理解なんてしませんよ。あなたが言うように、愚かしい行為です」
ミア「…………」
ミスラ「俺たち北の魔法使いは、力を持っています。独りで生きていけることが、この国での強さで、誇りだ。自分以外の誰かを生きるよすがにするなんてことは、独りで生きられない弱者の証。あなたも、チレッタも、わかっていたはずなのに」
……私たち魔法使いでも、生理的なものには抗えないんだろうな
……私だって…………
いや、やめよう
ミア「……ああ、そうだな。そのようなこと、言われるまでもなく理解していた。しかし、その理解を超えて、心を揺さぶられてしまった。囚われてしまった。……ブラッドリー、貴様に出会って。今ならわかる。己がどれほど、愚かなことをしていたのか。この傷……貴様が認めてくれた矜持すら捨て置き、私は貴様に溺れた。
仇敵を探すよりもまず、雪原で貴様を探し、相対せば生ぬるい殺し合いばかりして……。挙句の果てには、貴様を奪われることに耐えられず、心を乱し……無様に雪上に平伏した。北の魔女ミアが、落ちぶれたものだ」
ブラッドリー「……っ……。ああ……本当にな」
ミチル「……やっぱり、北の魔法使いはよくわかりません。あなたたちのこと、少しずつ、前よりはわかってきたと思ってました。それでも……」
フィガロ「っ、ミチル、やめなさ──」
ミチル「それでも、母様と父様のこと、悪く言われるのは、納得できません！父様と結婚したことも、兄様やボクを産んだことも……。母様の選んだものは、愚かなんかじゃない……っ！」
ブラッドリー・ミスラ・ミア「「「…………」」」
賢者様「……ミチル……」
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作者名：紅玲
| 作成日時：2024年2月15日 1時
