22人目の賢者の魔法使い2【魔法使いの約束】

80話 ページ31

オーエン「騎士様、騎士様」


ヒースクリフ「な、……なんか言ってあげなよ……」


カイン「が……、頑張れー。えらいぞー。えらい、えらい」


オーエン「えへへ……。びゃっ……！」


シノ「悪い。またずれた」


ヒースクリフ「おまえ、普通だったら、二回くらい殺されてるぞ……」


オーエン「……もうやだ……」


シノ「頑張れ。いけるいける」


カイン「えらいえらい、頑張れー」


ヒースクリフ「が……、頑張れ、頑張れー」


『……調子狂うよ、ほんと』


カイン「それには同感だな。……大丈夫か？」














冗談抜きで、吐き気がしてくる





あのオーエンが、こんな子どもみたいになってるんだから



結構数百年の長い付き合いだけど、こんなことなかったし













オーエン「うんと……、シノは目薬がへた」


シノ「うるさい」


カイン「おまえ、魔法は使えないのか？俺の目も、魔法で奪ったんだ。指なんかもう突っ込むなよ」


オーエン「ニコラスが、僕が魔法使いだって」


カイン「ニコラス……。あの人と何を話したか覚えてるか？あの人はなんで落ちたんだ？」


オーエン「えっと……。街が壊れちゃったから」


カイン「街が壊れたから……？もう少し、詳しく聞かせてくれ」


オーエン「うーんと……。思い出せたら、えらい？」


カイン「えらいえらい。頑張れ」












カイン、これでもかってくらい顔引きつってるし





まあ、そりゃそうもなるよね


オーエン褒めることなんてないし












オーエン「えっとね……。ニコラスは、魔法使いになりたかったんだって。魔法使いたちは隠してるけど、月が落っこちれば、みんな、魔法使いになれるんだ。だから、月は押し返さないで、受け入れた方がいいんだよって、教えてくれたんだって」


賢者様「誰が……」


オーエン「ノーヴァ」


賢者様「ノーヴァ……」













ノーヴァ……？聞いたことない名前だな



でも、月が落ちればみな魔法使いなれるって知ってるくらいだからそいつも魔法使いか……？














オーエン「ノーヴァの儀式を手伝ったら、街が大変なことになったんだって。自分のせいだ、もうだめだ、責任をとって、飛ぶって、飛んだ」


ヒースクリフ「責任を取るって……。じゃあ、あれは本当に、自｜殺未遂だったってことか……？」

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