22人目の賢者の魔法使い2【魔法使いの約束】 (ページ25)

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74話ページ25

ルチル「たくさんの考え方があって、違う人がいて、別々の方に向かってる。みんな、自分の行き先がある。今まで歩いてきたたくさんの道があって、そこで出会った、怖いものや、嫌いなものがある。他人に一歩も譲らずに押し合って、すれ違う人を睨みつけても、道が広くなるわけじゃないし……。窮屈さを我慢することに慣れて、肩を縮めて、下を見てばかりいたって、道が広くなるわけじゃありません。

みんなが笑って、自由に歩けるように、あの道を広くして……。私たちの心の中の道を広くしていけば、私たちは一緒に、いられるんじゃないでしょうか」

──翌日

『…………何、これ』

拭っても拭っても、涙が止まらない

悲しくともなんともないのに

…………まさか、これが私の奇妙な傷？

『はあ……』

とりあえず、外に行こう

─数分後

ミスラ「……何してるんです。そんなところで」

『特に何も』

ミスラ「何もないわけないでしょう。ちょっと、膝貸してください」

『は？やだけど。なんで？』

ミスラ「最近寝れないんですよ、ほんと…………って、あなた、泣いてるんですか」

『泣いてないけど』

ミスラ「嘘つかないでください。何があったんですか。あなたが泣くなんて」

『何もない。勝手に流れてるだけ』

ミスラ「…………それがあなたの奇妙な傷、ってやつですか？」

『……多分』

バレたくないやつ、No.2に早速バレた

最悪だ。弱みじゃん、こんなの

─スッ

『っ……。何』

ミスラ「本当に止まりませんね。これ」

『だから、言ってるじゃん。感情関係なしに流れてくるの』

ミスラ「……綺麗ですねえ。あなたの泣き顔って」

『……何言ってんの。気持ち悪い』

ミスラ「でも、そろそろ泣き止んでもらえません？そうじゃないと、俺が──」

ミチル「あ、ノワさーん！……って、泣いてる！？まさか、ミスラさんが……。兄様ー！！」

ミスラ「はあ……。行きますよ」

『は、どこに？』

ミスラ「部屋に決まってるじゃないですか」

……なんか、嫌な予感がする……

オーエン「あれ、泣いてる？」

『チッ……』

オーエン「ミスラが泣かせたの？酷い人だね、君も」

ミスラ「俺じゃないですし。邪魔です。そこ」

オーエン「だから？」

ミスラ「どいてください」