22人目の賢者の魔法使い2【魔法使いの約束】 (ページ23)

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72話ページ23

ミスラ「構わないじゃないですか。何故、好かれたいんです？何故、ひとりでいることに怯えるんです？死ぬわけでもないのに」

ミチル「大事な人が傷つくところを見たくないからです！」

ミスラ「…………」

ミチル「ボク自身だって、傷つけられたくない！仲良くしてれば、オーエンがいい人だったら、お城の人たちだって話を聞いてくれたはずです！兄様が暴力をふるわれた時、強い力を持っていたら、ボクだって、あいつらを蹴散らかしたかった。
だけど、そうしたら、もっと大勢の人間が集まってくるだけです。結果、争いになって、誰かが傷つくだけでしょう？」

ルチル「ミチル……」

ミチル「優しくしたっていいじゃないですか。みんなと協力し合えばいいじゃないですか。死ぬわけでもないのに」

ミスラ「必要ありません。何人来ても蹴散らせばいいでしょう」

ミチル「だから……！」

争いたくない……ねえ

無理な話だとは思うけどな

所詮人間と魔法使いは違う生き物なんだから

ミスラ「俺は傷つく覚悟をしてます。俺の周りの誰かが、傷つく覚悟も。俺が自由に生きるために、満身創痍になる覚悟をして生きています」

ミチル「…………」

ミスラ「君たちが傷つくのが嫌だから、生き方を変えろと言われても、はい、なんて言えませんよ」

ミチル「……大事な人が傷つけられてもですか？」

ミスラ「いませんし、出来る予定もありません」

ミチル「なら、あなたはかわいそうな人です」

ミスラ「…………」

ミチル「……とにかく、リケ。やめるなんて言わないでください。一緒に頑張りましょうよ！」

リケ「……ミチルの言う通り、みなと仲良くすることが出来るなら……。賢者の魔法使いの務めが、聖者ファウスト様の行いのような、魔法使いが人に尽くせる、素晴らしい役目なら……」

……素晴らしい役目……ねえ

ファウスト「素晴らしい役目か。僕はそちらの方がお断りだよ」

リケ「…………」

フィガロ「どこに行くんだ、ファウスト」

ファウスト「東の国に戻る。＜大いなる厄災＞が襲撃した時には、魔法舎に戻ってくる。それでいいだろう。僕はもう疲れた。期待されて、歓迎されることにも。失望されて、追い出されることにも」

レノックス「ファウスト様……」