智あり雅やかな君に、潤い和み我も翔ぶ。【ars短編集】 (ページ20)

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「どんな人、紹介してくれるのかちゃんと聞かなきゃね！」
「アハ...うーん」
「大切なAの彼氏候補なんだから、私も一緒に審査しなきゃ！」

ユウがウンウン頷いてる。

ストローで氷をカラカラと回す。

「あ、来た来た」

カフェの入口を見たユウと同じように、私も視線をそちらへ動かすと

ちょっと怠そうに片頬を上げて笑った和也くん。

相変わらず色が白くて、きっと面倒だとか言って美容院に行ってないのか伸びた前髪を耳に掛けてる。

氷がカランと音を立てて、融けた。

「余暇を楽しむオレ様を呼び出したんだから、コーヒー位御馳走してくれんだろうね？」

ユウの座ってる椅子の背凭れに手を掛けて

「Aちゃん、久し振り」

私を見て、口の端っこをキュっと上げた。

「お久し振り...」

そう応えると、彼はユウの隣に座って店員さんに「ホットお願いします」と頼む。

「女子二人で何してたの？コイバナ？あ、オレがカッコイイって惚気てたの？」
「和也の話はしてないけど、こないだAに紹介出来そうな人が居るって言ってたでしょ？」
「あー、うんうん」
「その話を詳しく訊こうと思って！ね！」

突然ユウに同意を求められて、条件反射のように「うん」と頷いてしまった。

左手で頬杖をついた和也くんが「ふぅん...」って、私を見る。

「そんなに彼氏欲しいの？」
「いや、欲しいってゆーか...」
「モテそうなのにねぇ、Aちゃん」

ゆるっと細くなる目。
三年前と同じ目だ。

苦しい。
心臓が、キリキリする。

・

三年前の暑い日。
ユウに誘われたバーベキュー。

ユウの職場の人達や、その友達が来るからAも行こう！って。
特に予定も無い日だったし、別に人見知りでも無い。
断る理由も無いから参加したのが...今思えば、失敗だったのかもしれない。

和也くんと初めて出会ったのは、その時だった。

バーベキューが驚く程に似合わない、真っ白な肌。
前髪を耳に掛けて、怠そうに咥え煙草で飯盒の火加減を見てた姿。

「...ん？」

顔を上げた彼が、私を見て煙草を口から離しながら「なぁに？」と首を傾げた。

「あ、ご飯炊けてるか見て来てって言われて...」
「あー、もう大丈夫じゃない？分かんないけど」
「え？どっちですか？」
「どっちだろ」

顔を見合わせて、クスクス笑う。

「キミは、誰かの友達？」
「あ、はい。ユウに誘われて参加させて貰ったんです」
「へぇ...。ユウの友達なんだ」

彼は、また煙草を咥えた。