智あり雅やかな君に、潤い和み我も翔ぶ。【ars短編集】 (ページ23)

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お互い、会社員。

有難い事に、土日は二人とも休みだ。

大体、土曜日は遊びに出かける。
日曜日は、食材の買い出しとか家事とか、のんびりしたりとか。
それが毎週のリズム。

今日は日曜。
昨日、知らない町に行ってみよう！ってドライブしたら道に迷って疲れ切ったせいで、朝から二人ともダラダラ。

私はソファの上に両脚を上げて体育座りしながら、スマホでゲーム。
トイレから戻って来た潤が、私の隣に座って肩でグイグイ押して来る。

私の体はどんどん端っこに追いやられて、とうとう潤は私の膝に頭を乗せて寝転がり本を読み始めた。

「あー、落ち着く」
「重いよー、潤の頭が重いよー」
「脳みそ詰まってるからね、仕方無いね」

クスクス笑った潤の肩が揺れて、くすぐったい。

「何読んでるの？」
「ジャケ買いした本」
「どう？面白い？」
「よく分かんない」

潤はよく、装丁とタイトルだけで本のジャケ買いをする。
一種の賭けらしくて、中身が面白かったら凄く高揚すると言ってる。
逆だと、「俺は何でこんな本を読んでるんだ」ってバカバカしくなって笑えるって。
どっちにしろ、楽しいらしい。

暫くそのポーズのままでお互い好きな事をして、潤は途中で本に飽きたらしく寝てしまった。

長い睫毛。キリンみたい。
羨ましい。

そんなキリン睫毛な潤のお腹がグゥゥ...と鳴って、寝ながらお腹空かせてる！と思ったら可愛すぎて思わず彼のお腹をポンと叩いた。

「いてっ...」
「潤、ご飯にしよ」
「んー...もうそんな時間か...」

目を擦りながら、ヨイショって起き上がる。

寝起きでフラフラの潤がキッチンへ行くから、私も一緒にキッチンへ。
料理は潤の方が上手いから、私はその助手をするのが定番。休日は。
平日は、先に仕事が終わった方が作る事にしてる。

「さてと、今日は何を作りましょうか」
「センセイ、今日の献立は？」
「A、何食べたい？」

潤が助手の私に優しく訊きながら、チュっと軽くキス。

「俺はAが食べたいんですけど、それは食後にします」
「そうして頂けると助かります」

ばーか！って笑われた。

潤の見事な包丁さばきを見ながら、私はピーラーで人参の皮を剥く。
鼻唄歌ってたら、潤が合いの手を入れてくれる。

「これからもこうしてたいな」
「え？」
「え？」
「潤、今何か言ったよね？」
「え？フフッ」

今日も私は、潤と暮らす。

・・・・・END・・・・・