▽続き ページ34
福本side
Aがボーカルをやってくれると言った瞬間、全世界の俺が安堵した。
そう、Aは少しくらい自分の気持ち優先させてもええねん。
俺らは高校1年生の学校祭でバンドを組んだ。
Aがギターボーカルで俺がベース、あとは同級生がドラムとキーボードを担当してくれて
元々楽器やってたやつだけを集めた感じやから割と上手かったし
Aの美声のお陰もあって、意外と好評やってん。
でもAが高校2年生になって、妹さんが高校1年生の時に誘拐されはって
トラウマから人と話せんくなってしまって
最近は女の人なら話せるらしいんやけど
最初は声も出んくて
「麗衣は声が出なくて苦しんでるのに、その声を使って私が楽しむのは違う…」
と、Aは歌うのを辞めてしまった。
俺も妹さんのことは気の毒に思っとったし
Aも歌うことでその事を思い出して嫌な気分になるならそれは嫌やなって
俺は軽音サークルにはいる時もAを誘うことはせんかった。
でも、ある日突然家のインターホンが鳴って
出たら妹さんが玄関先に立ってた。
そして消え入りそうな声で
「お姉ちゃんに…もう1回…歌わせてあげて欲しいんです…
私には…できないから……」
って深深とお辞儀をしてきた。
男と話すの怖いんちゃうん？
そこまでしてでも好きなことをさせてやりたいくらい
お姉ちゃんが大切なんやな。
俺もやで、俺もAのことほんまに大切に思っとる。
せやから
「分かりました、任せてください！」
そう彼女に向かってグーサインを向けて見せた。
あの日から俺はこの瞬間をずっと待ち望んどったんや。
福「A、頑張ろうな！」
そう声をかけるとあの日の俺のようなグーサインを向けてくるA。
サークルは元々大好きやけど、明日からのサークルは多分もっと好き。
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咲良(プロフ) - 絶対完璧さん» わぁぁ嬉しすぎるコメントありがとうございます ！！！亀更新ですが楽しんで頂けると嬉しいです〜！ (2022年11月3日 1時) (
レス) @page42 id: e03173b876 (このIDを非表示/違反報告)
絶対完璧 - 面白いです!続き待ってます (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9c542e42dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲良 | 作成日時：2022年8月27日 12時
