いつかどこかで感じた温もり ページ34
あの時の頬に触れた手の温もり。
人間としての温かさはないが、その手の優しさは僕の心に熱く染み込んだ。
やっぱり彼女が__
__"これが、貴方が崇拝していた守神ですか？"
リッパーの憎たらしい声と、彼女の怯えた顔を思い出す。
最初は違うと思っていた。
子供の頃見た時の彼女とは、まるで違う見た目だったから__
でも、あの手の温もりは昔から変わっていなかった。
僕は姿形がどれだけ変化しても、彼女のことを__
＊
｢...！｣
目が覚めると、イライやナワーブ、意外なことにイソップの顔まで視界の中にいた。ここは僕の部屋か。
でもそれどころじゃない。
あの子はどうなった？あの後無事に戻ってこれたのか？
思いっきり身体を起こすが、全身に痺れるような痛みが走る。
｢無理すんなよ、これ以上ぐるぐる巻きになりたいのか？｣
ナワーブは包帯をチラつかせてそう言う。
両手や顔に触れてみると、確かに包帯がたくさん巻かれていた。さっきの試合はイライもいたはずなのに僕より全然軽傷だ。
でも、僕はどうなってもいい。
あの子は今どこだ？
｢ノートン、安静にしなきゃ｣
｢...離して、イライ。ダメなんだ...｣
本気で心配している顔だ。力尽くで突っ撥ねることなんて出来ない。
でも...。
｢あの子を...守神様を助けに行かないと...｣
｢だから今は寝てろって！あいつもきっと帰ってきてるから｣
｢違うんだよ！｣
思わず大きい声を出してしまった。
さらに頭痛が大きくなる。
｢違う...。...あの子は｣
3人を押し退け、覚束無い足取りでベッドを降りる。さっきの試合であったことを話している暇などない。話したくもない。思い出したくもない。
後ろから3人のうちの誰かの声が聞こえたが、僕は足を動かすことを止めなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます！！沙羅さんのコメントが嬉しくて私も毎回栄養補給させて頂いてます(？) 他作品の方はこれからも続くので、どうか末永くよろしくお願いします...！ (2020年6月25日 0時) (
レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 完結おめでとうございますとお疲れ様です…！どんな結末になるんだろうと色々妄想(？)してたのですが、ちょっと切なくて甘い感じ、好きです…！今回も栄養補給させて頂きました(ｴﾍﾍ)、ありがとうございます…！！喫茶店の方も楽しみにしてますね！ (2020年6月24日 21時) (レス) id: 3aa856ffa1 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - ゆったり更新で大丈夫ですっ！気長に待ってますっ！！ (2020年6月17日 4時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - ?mi?さん» ありがとうございます...！ゆったり更新ですがどうかよろしくお願いします！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてますっ！！ (2020年6月16日 3時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜 | 作成日時：2020年6月6日 16時
