異様 ページ25
｢もうクタクタだなぁ。飯食いてぇ｣
｢夕食まであと何時間かあるけれど｣
あたかもここは俺の部屋です、みたいな様子で遠慮無く入室してきたナワーブ。
僕もナワーブも、そして今頃相変わらず自室に篭っているであろうイソップも包帯まみれだ。
試合は引き分け。何とか無残な結果を残さなくて良かったと思う。
そういえばナワーブはこれで念願の神鬼との出会いを経験したわけだが。
｢なぁなぁ、俺も会えたよ、あの神鬼に！｣
__やっぱり。
そのことを伝えにここまで来たのか。
｢想像とは少し違ったけどさ、確かに美人だった。どっちかというとノートンの方が好きそうな見た目だと思うけどな？｣
｢....そう？｣
口元に笑みを浮かべると、ナワーブは尚更嬉しそうな顔をした。
｢...それでさ、ちょっと気になったことがあんだ｣
ナワーブは笑顔を崩さず、でも神妙な様子で口を開く。
なんだろうか。彼がこういった声音で話すのは珍しい。
｢あの子、腕にお前と同じものがあったんだ。これ｣
これ、と言いながらナワーブは自分の顔の半分を指差した。
｢ケロイド？｣
｢そう。火傷の痕｣
｢...それで？｣
ナワーブは眉を下げて優しい顔をした。
彼は相手を気遣う時にいつもこの表情になる。
随意にはしゃぎ回っている普段の彼とはかなりのギャップだ。
｢もしかしたらだけどさ、お前とあの子、昔から知り合いだったんじゃないのか｣
＊
『も、もっと怒ってるかと思った...』
｢君を放っておいたがゆえに救助されて逃げられたのは私の詰めが甘かったからだ。君たちに怒りを抱く必要性はない｣
ジョゼフはそう言いながら紅茶を1口飲んだ。
自分のミスは自分の責任、と捉えているのはストイックで格好良いなって思うんだけど...。
『眉間のシワどうにかしてよ...』
｢...失礼｣
やっぱり悔しいものは悔しいらしい。
確かにまぁ、ジョゼフが優勢ではあったし引き分けを取れたのは嬉しかったけど。
｢君に攻撃をしたつもりだが、あの探鉱者はまるでそれが見えているように君を庇っていた｣
『うん』
不思議そうな顔をするジョゼフに、私も同意する。あの時点ではまだ私の姿はハンターにしか視えていなかったはず。
ジョゼフの動きをよく見ていたにしてはピンポイントすぎるとは思った。
｢まるで君と彼の間に不思議なフィーリングがあったようだ｣
『な、何その表現...』
ふふ、と気障に笑って紅茶を飲むジョゼフ。
その言葉がどこか擽ったかった。
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怜(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます！！沙羅さんのコメントが嬉しくて私も毎回栄養補給させて頂いてます(？) 他作品の方はこれからも続くので、どうか末永くよろしくお願いします...！ (2020年6月25日 0時) (
レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 完結おめでとうございますとお疲れ様です…！どんな結末になるんだろうと色々妄想(？)してたのですが、ちょっと切なくて甘い感じ、好きです…！今回も栄養補給させて頂きました(ｴﾍﾍ)、ありがとうございます…！！喫茶店の方も楽しみにしてますね！ (2020年6月24日 21時) (レス) id: 3aa856ffa1 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - ゆったり更新で大丈夫ですっ！気長に待ってますっ！！ (2020年6月17日 4時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - ?mi?さん» ありがとうございます...！ゆったり更新ですがどうかよろしくお願いします！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてますっ！！ (2020年6月16日 3時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜 | 作成日時：2020年6月6日 16時
