紫苑色に惑わされーkmmrー ページ25
kwkmさんメインです。
kwkm side
なんで俺は、先輩に惑わされなきゃいけないんだ。
大学のクイ研の先輩で、今は同じ職場。
付き合いはもう5年以上になる。
別に先輩は俺を惑わそうなんてきっと思っていない。
勝手に惑わされているだけ。
だからこそ、厄介なのだが。
「川上、ちょっといい？」
「はい。なんですか？」
「ここなんだけど…。」
会話だけ聞けば普通の仕事の話だ。
ただ、距離が近すぎる。
たぶん顔を上げたら目が合って、少女漫画のような
胸キュンシーンが出来上がってしまう。
それだけは絶対に避けたい。
だから、離れてくれるまで絶対に顔は上げない。
そうやって脳内で戦いながら言葉を交わしていれば、
用は済んだようで。
「なるほど…。」
と言いながら離れてくれたので、漸く顔を上げれば、
何故かニコニコとこちらを見ている。
「なんですか？河村さん。」
そう問えば、
「可愛いなって。それだけ。」
じゃあ、ありがとう。なんて言い残し、
去っていった。
俺はというと、
「あっ、はい。」
そう返すのが限界。
脳内では、さっきの可愛いが反芻されていた。
可愛いってなんだよ？俺は男だぞ？
そして、突然すぎるやろっ！
仕事を進めようにも集中できず、考えてしまう。
顔には出さないようにしていたが、
そろそろ限界でトイレへ用もなく向かう。
近くに人がいないことを確認してトイレに入り、
「なんなんや…、もう…。」
そう本音をもらして、頭をかく。
髪はクシャクシャになるけど、
そんなこと気にしている場合じゃない。
どうして俺に可愛いなんて言ったのか。
いくら考えてもわかりっこないこの問題。
真実を知るのは、河村さんただ1人。
とりあえず、仕事をしなくてはならないので
どうにか気分を落ち着かせる。
そうして、髪を整えて自分のデスクへ戻る。
途中、目があった河村さんは嬉しそうに
こっちを見ていて、あなたのせいですからと言いたい
気持ちを抑え、なんとか戻ってきた。
そして、仕事のこと以外考えないようにして、
漸く集中することができた。
これは、ある日のある出来事のように見えるけど、
俺にとっては、日常で。
日々、思わせぶりな態度に惑わされ続けている。
俺の気持ちなんて知らずに。
罪な男だ。本当に。
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レイ(プロフ) - 雫石さん» お気遣いありがとうございます。楽しんでいただける作品を書くために体調を万全にして戻ってきますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年11月8日 22時) (
レス) id: 91e1dda27d (このIDを非表示/違反報告)
雫石(プロフ) - レイ様はじめまして。この作品がとても好きで更新を楽しみにしている1ファンでございます。体調の回復心よりお祈り申し上げます (2020年11月8日 13時) (レス) id: e622edf432 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年10月20日 0時
