口実 ページ19
「ちーす」
「お願いしまーす！」
授業を終え部活の時間となり、次々に先輩たちが集まってくる。信介が先輩たちに挨拶を交わしていると、辺りを不安げに見渡す天馬が目に入った。
「どうしたの？天馬」
「Aの姿が見当たらなくて…」
天馬に習い信介も辺りを見渡すと、確かにAの姿は見えない。
昨日の出来事、授業中でもずっと俯いてばかりいたAに2人は掛ける言葉も失い、部活には顔を出してくれるだろうと信じていた。
「天馬、氷織は来てないのか？」
「…その様子だと来てないみたいだな」
「霧野先輩、キャプテンも」
それは霧野と神童も同じで、天馬たちの様子で悟ったAの状態に悲しげに眉を顰める。
心配が伝染するように、全員があの場から逃げ出したAを思い目を落とした。
「そういえば狩屋君もいないみたいですけど…」
「狩屋なら何か知ってんじゃね？」
Aと同じく姿が見えない狩屋に気付いた影山に、浜野が閃いたように指を鳴らす。
昨日、一目散にAの後を追い掛けた狩屋なら何か知っているのではないかとそう思った矢先、部室の扉が開いた。
噂をすればなんとやら。
そこには時間ギリギリなのにも関わらず堂々と狩屋が立っていた。
「ナイスタイミング狩屋！」
「なんだよ急に！」
「狩屋、氷織はどうしたんだ？あの後追い掛けてただろ？」
急接近してきた天馬と信介に後退りながらも、入ってきた狩屋に霧野がAの事を聞き出す。
すると狩屋は困ったように頭を搔いた。
「それがあいつ、足早すぎて追いつけなかったんすよね〜」
「そうなのか…」
「あいつのためにも今は放っておいてあげたらいいんじゃないすか？あぁ、それと＿＿」
Aとよく一緒にいる狩屋という頼みの綱も切れてしまい、天馬を筆頭に全員が肩を落とす。
そんな中、狩屋は自分のロッカーの荷物を漁りながら突然腹を抱えて苦しみ出した。
「俺、体調悪いんで今日の練習休みまーす」
「えぇ！大丈夫なの？」
「実は今日ずっと腹痛くてさ…いててっ」
「わかった。円堂監督には俺が伝えておくから、今日はゆっくり家で休むんだ」
「すみません。ありがとうございます」
神童の気遣いにお礼を言いながら狩屋はロッカーを閉めると部室から出ていく。
その様子に違和感を感じていたのは霧野だけで、訝しげに狩屋の背中を見つめていた。
(練習を休むのになんでユニフォームとジャージを持って出て行ったんだ…？)
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もも(プロフ) - 1から読ませて頂きました！とっても面白くて好きです！夢主ちゃんと雪村くんの再会が楽しみすぎます！3月になり忙しいと思いますが、頑張って下さい！応援してます！ (3月1日 22時) (
レス) id: 4847ed5667 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 素敵な作品ですね。更新頑張ってください。 (2月22日 16時) (レス) id: c510f125c3 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 狩屋と夢主ちゃんが木暮くんと春奈ちゃんみたいでかわいい！ (2月22日 9時) (レス) @page5 id: e35ef3ea0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei | 作成日時：2024年2月10日 18時
