氷織家 ページ17
「さぁ、あがってあがって」
「お邪魔します」
「狩屋君の分もすぐに用意するからね」
歓迎ムードに入ってしまった母親を止める訳にもいかず、狩屋はAの家へ案内される。
テーブルにはAの父親が席に座って待っていて、カレーライスや色取りなサラダと美味しそうな料理が並んでいた。
「おかえりA。おや？君は？」
「急にお邪魔してすみません。狩屋マサキです」
「Aのクラスメイトで同じサッカー部の子よ。探しに行くとAと一緒にサッカーをやっているのを見掛けてね。折角ならお食事でもどう？って誘ったら来てくれたのよ」
「そうかそうか！にしても、Aの友達が来るのは豹牙君以来だな」
「豹牙君…」
「もう！やめてよお父さん！」
笑いながら懐かしむ父親に、Aは恥ずかしそうに頬を赤く染めながら叱る。
一方、狩屋は何度も聞いた幼馴染みの名前が心に募らせていた。
色んな話をしている内に、食欲を唆るいい匂いを漂わせた料理が並べられた食卓を囲んだ。
「ん〜！美味しいです！」
「ありがとう！そうだ、デザートもあるんだけどどうかしら？」
「いいんですか？ありがとうございます！」
「もてなし過ぎじゃない？」
「日頃の行いってやつ？」
「本気で言ってるの？それ…」
たかが一緒に練習をしていただけなのに、Aは優遇を受けている狩屋を呆れたように横目で見つめる。
父親も困ったように笑いつつも、母親の甘さを知った上で受け入れていた。
「まぁまぁ。でもAがあまりに学校のことを話さないから心配してたんだ。
試合中もどんな感じだい？他のメンバーとも仲良く出来てるか？」
「……」
親なら当然、子供の人間関係は心配するもの。
しかし、今のAは過去の経験から他人を信じれない状態にあった。
両親の様子からしてその事も隠してきたのだろう。
純粋な目を向ける両親の姿に、Aは思わずスプーンを止めて黙り込んでしまう。
「みんなとも仲良く出来てますよ。ま、何があっても俺がいるんで」
「…っ」
「そうなのね！狩屋君のような子がいてくれて良かったわ」
そんなAの様子を察した狩屋がそっとフォローに入ると、両親は安心したようにひと息をつく。
Aは狩屋が言ってくれた言葉を噛み締めると、膝の上にある拳を静かに握り締めた。
「デザートは後で持っていくわね。それまでAの部屋で寛いでね」
「はい、ありがとうございます！」
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もも(プロフ) - 1から読ませて頂きました！とっても面白くて好きです！夢主ちゃんと雪村くんの再会が楽しみすぎます！3月になり忙しいと思いますが、頑張って下さい！応援してます！ (3月1日 22時) (
レス) id: 4847ed5667 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 素敵な作品ですね。更新頑張ってください。 (2月22日 16時) (レス) id: c510f125c3 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 狩屋と夢主ちゃんが木暮くんと春奈ちゃんみたいでかわいい！ (2月22日 9時) (レス) @page5 id: e35ef3ea0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei | 作成日時：2024年2月10日 18時
