深まる仲 ページ16
「…ぷっ、あはは！」
「なっ！笑うなよ！」
「だ、だって狩屋くんがらしくないことを言うから…っ！」
「こんっの…！」
入部当初に嘘で雷門を翻弄していた狩屋の励ましにAは笑いを堪えきれずに吹き出す。
狩屋もまた、Aへ向けた言葉を笑われ羞恥心から歯軋りをしながら拳を震わせていた。
「でもありがとう、狩屋くん」
「…おー」
狩屋の言葉に気持ちが少し軽くなったのは事実で、Aは微笑みながらお礼を言う。
Aの笑顔を見た狩屋は呆気に取られたのもつかの間、無意識に口元を綻ばせていた。
だが、笑われて黙っている狩屋では無い。
狩屋はAの隣に置いてあったサッカーボールをひったくると、悪戯っ子のような笑みを浮かべフィールドへ駆け出す。
「あっ！ちょっと返してよ！」
「返して欲しかったらここまで来いよ！」
まんまと狩屋の口車に乗せられ、狩屋からボールを奪おうとAは駆け出す。
そんなAの姿に、狩屋は安心したように笑った。
それからいつまでボールを追いかけていただろうか。
辺りはすっかり暗くなり、淡い夜空になり掛けていた空が2人を覆う。
ボールはAが取り返したものの、いつの間にか2人は無我夢中でボールを追い掛けていた。
「氷織ちゃん、そろそろ帰ろうぜ」
「そうね。すっかり暗くなっちゃったし」
暗くなった空を見上げ、木の下に置きっぱなしにしていた鞄の元へ歩いていく狩屋の後ろをAが追う。
その時、鞄を持って帰る準備を整えているAに女性が声を掛けてきた。
「A？」
「えっ、お母さん？」
どうやらAの母親らしく、母親の元に駆け寄ったAの後を狩屋は追い掛ける。
「帰りが遅いから探したのよ。…あら？その子は？」
「同じサッカー部の狩屋くん。一緒に練習してたの」
「狩屋マサキです」
「狩屋君ね。いつもAがお世話になってるわ」
「いえ、世話になってるのは俺の方です」
Aの後ろに立っていた狩屋が目に入り、首を傾げていた母親に狩屋を紹介する。
猫を被って人当たりの良い笑顔を浮かべ始めた狩屋を、Aはジト目で見つめつつ2人の会話を流し聞く。
「そうだ！良かったらご飯食べてかない？ご馳走様するわ」
「え」
「いいんですか？」
「勿論よ。Aと仲良くしてくれるお礼と思って」
「ありがとうございます！」
「えええぇぇ！！？」
途端、Aの声が夜空中に響き渡った。
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もも(プロフ) - 1から読ませて頂きました！とっても面白くて好きです！夢主ちゃんと雪村くんの再会が楽しみすぎます！3月になり忙しいと思いますが、頑張って下さい！応援してます！ (3月1日 22時) (
レス) id: 4847ed5667 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 素敵な作品ですね。更新頑張ってください。 (2月22日 16時) (レス) id: c510f125c3 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 狩屋と夢主ちゃんが木暮くんと春奈ちゃんみたいでかわいい！ (2月22日 9時) (レス) @page5 id: e35ef3ea0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei | 作成日時：2024年2月10日 18時
