独りのサッカー ページ13
みんなの視線に耐え切れず、あの場から逃げ出したAは誰もいない河川敷に来ていた。
サッカー棟を出たAは、自分のロッカーの中から持ってきた傷だらけのサッカーボールに視線を落とす。
お守り代わりに置いていたこのボールはAの私物であり、幼馴染みとの思い出が詰まった大切なもの。
(みんな、びっくりしちゃっただろうな…)
幼馴染みとの思い出と共に逃げるよう、サッカー棟を飛び出したAは置いてきてしまった部員たちに申し訳なさから口を結ぶ。
いつかはバレてしまうと薄々思っていた。
フィフスセクターにいた時はシードになりきるため、FWとして動いていた事を剣城が知っているのも当然。
それに因んで化身使いである事がバレるのも時間の問題だった。
現に剣城が気付いていたのだから。
河川敷に来た理由も、ただ我武者羅にボールを蹴りたかった、ただそれだけの理由。
そしてふと目線を動かすとゴールポールが目に入る。
誰もいないサッカーフィールドでAは、持っているサッカーボールを強く掴むと、ボールを強く蹴り上げ、高く飛び上がりシュートを決めた。
(衰えてない、)
重力と脚力が合わさったおかげで凄まじいスピードで放たれたAのシュート。
シュートを打ったのはフィフスセクターにいた時以来なのに、変わらない実力にAは達観する。
(でも、)
ネットに入ったボールがまるでリプレイを要求するかのように足元に転がると、Aは衝動のままに独りでドリブルを始めた。
その姿はまるで、ボールに感情をぶつけているようで＿＿。
(どうせみんな一緒なんだ！)
ずっとそうだった。
ただ目標に向かってただひたすらボールを追いかけていただけなのに、皆Aを遠ざける。
(誰も私のパスを受け取れなかった！
でも私がみんなに合わせたプレーをすれば、みんな私とサッカーしてくれた！)
本気でやれなくとも、本当は楽しくないけど、みんなに合わせれば一緒にプレーが出来た。
(だったら化身なんか使わなくても、みんなとサッカーが出来ればいいんだ！)
怒りのままにボールを蹴り上げた先には誰もいない。
誰にも取られる事無くボールは虚しく転がり続けていて、それはこの雷門にいる限り続くのだろう。
「ここにいたのかよ」
そう思った矢先、ボールが誰かの足に留まる。
Aが蹴ったボールを受け取ったかのように。
「探したぜ、氷織ちゃん」
「…狩屋くん、」
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もも(プロフ) - 1から読ませて頂きました！とっても面白くて好きです！夢主ちゃんと雪村くんの再会が楽しみすぎます！3月になり忙しいと思いますが、頑張って下さい！応援してます！ (3月1日 22時) (
レス) id: 4847ed5667 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 素敵な作品ですね。更新頑張ってください。 (2月22日 16時) (レス) id: c510f125c3 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 狩屋と夢主ちゃんが木暮くんと春奈ちゃんみたいでかわいい！ (2月22日 9時) (レス) @page5 id: e35ef3ea0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei | 作成日時：2024年2月10日 18時
