才能があったが故 ページ12
「そうか。あの子はここでも…」
「吹雪さん、Aは…」
行ってしまった2人を気遣う天馬が何処か遠い目をしている吹雪に振り向く。
化身をずっと隠し通していたAに対する懸念は消えず静寂な空気が流れる中、吹雪は淡々と口を開いた。
「あの子はきっと、君たちを信じていない」
「えっ…！」
「そんな…！」
帝国学園戦で天馬と共に剣城の元へ向かい、月山国光戦で狩屋と共に戦ったというのに、吹雪の口から語られる事実に天馬と霧野はショックを受ける。
「氷織は何でも出来てしまう恵まれた才能を持った子なんだ。でもそれが原因で周囲から妬まれるようになって、白恋中に入る前もサッカーチームに入っていたようだけど、どこにも馴染めなかったらしい」
「周りからの嫉妬って、そんなの氷織は悪くないじゃないか！」
「でも、どうしてそれが化身を使わない理由になるんですか？」
車田の叫びに、吹雪は複雑そうに眉を顰めながら小さく頷く。
続けて神童の疑問にも、言葉をつまらせながら吹雪は苦虫を噛み潰したような苦しげな表情を浮かべた。
「それは…僕にもわからない。
ただ、氷織が雪村と僕以外の前で、化身を使ったところを見たことがない。
…周りを信用していないから。どうせ皆同じだって、思うようになったんだと思う」
嫉妬の目に晒されていたからこそ、周りを信じれなくなってしまったA。
それが原因かやぶさかでないが、天馬、剣城、葵、霧野らはいつしか見せていたAの違和感に気付いていた。
「僕は氷織の環境を知っていたのに、彼女の実力を買ってフィフスセクターに反乱を起こすレジスタンスになるよう頼んでしまった。
氷織はすぐに頷いてくれたけど、心の底では苦しんでいたかもしれないのに…」
心境を知っていて尚、フィフスセクターと共に戦って欲しいと頼んだ裏ではAはどう思っていたのか。
たらればを繰り返しても今更意味が無いのは知っている。
けど、白恋中のコーチとして、Aの師匠として任せっきりにしてしまった事を吹雪は悔やむ。
「1人の選手も守れない事は羞恥の上だ。どうか彼女も、救ってやってほしい」
次々と雷門に使命を課せてしまい、責任に押し潰されたような苦渋な表情を浮かべた吹雪は俯く。
そんな吹雪を見ても、雷門の答えは最初から決まっていた。
「吹雪さん、顔を上げてください。俺たちはとっくに決めてます」
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もも(プロフ) - 1から読ませて頂きました！とっても面白くて好きです！夢主ちゃんと雪村くんの再会が楽しみすぎます！3月になり忙しいと思いますが、頑張って下さい！応援してます！ (3月1日 22時) (
レス) id: 4847ed5667 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 素敵な作品ですね。更新頑張ってください。 (2月22日 16時) (レス) id: c510f125c3 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 狩屋と夢主ちゃんが木暮くんと春奈ちゃんみたいでかわいい！ (2月22日 9時) (レス) @page5 id: e35ef3ea0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei | 作成日時：2024年2月10日 18時
