綺麗な物語を貴方に《Yuto.N》 (ページ1)

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「ねぇ、大丈夫？」

田舎から出たくて受けた都会の高校、それが君との出会いだった。

受験日は想像以上に寒くて、マフラーに顔を埋めながら試験会場に向かった

前日に緊張して眠れなかったのもあり、その日の体調は最悪だった。寒さも相まって気を張っていなくては倒れてしまいそうなほどに…

学校に入るのは出来たが、会場に向かう途中で耐えきれなくなってしゃがみこんだ時…君と会った。

その時の第一声が優しくてふわふわしてて、思わず顔を上げた

『大丈夫、です』

「どうしたの？体調悪い？」

『ちょっと寝不足で、ふらふらしちゃって』

「先生呼んでこようか？」

『ううん、試験受けるから大丈夫…』

「その体調で受けられるの？」

『始まったら吹っ飛ぶと思うから』

いつだってそうだった。どんなに緊張して気分が悪くなっても始まってしまえば問題ない

集中すると緊張さえも忘れて没頭してしまう性格だったから。

「そっか…無理しちゃダメだよ」

『うん、ありがとう』

「あっ！そうだ。元気になるものあげるよ」

そう言って彼女がカバンから取り出したものはレモン味の飴だった

『飴…？』

「そう、これにはね。絶対受かりますように！っておまじないかけといたから。きっと大丈夫」

『ありがとう…』

「じゃあ行くね、お互い頑張ろう！」

そう言うと君は爽やかに立ち去っていった

貰ったレモン味の飴を口に含むと少しだけ…気分が楽になるような気がした