すのまんまの9人 3 (ページ33)

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sk「お花？」
ab「そう、お花」
sk「にゃはは、なんだよ急に」
ab「さっき夢を見てね。当たり一面グレーの世界にいたんだよ」
sk「グレー？」
ab「昔のモノクロ映画みたいな感じ」
sk「あー！なるほど！」
ab「そう、それでね、その世界でお花屋さんに行ったら一つだけ色があるお花を見つけて、触ったらあたり全部に色がつくっていう夢」
sk「すご！アニメみたいだね」
ab「ふふ、だよね。その唯一色のあったお花ががさ、佐久間の髪の毛みたいな色だった」
sk「ほぇー。どんなお花だろ？」
ab「調べてみようかな…えーと」

花ピンク

それだけで検索するとたくさんある。
その中で、夢で見た花を探しだした。あの花だけはなぜか鮮明に覚えていた。

ab「あ…これかも」
sk「なんて名前？」
ab「ピンクの、アネモネ…」
sk「みーしてっ」

後ろから優しく抱きしめられる。
いつも勢いよくわんこみたいに飛びついてくるのに、こうやって体調が悪い時はふわっと優しく包み込むようにしてくれる。その優しさをみんなに惚気るのは少し嫌で、なんでか独り占めしたくなる。

sk「なんか俺の染めたての髪色みたい」
ab「確かに。あれなんか…香水変えた？」
sk「今日たまたまお花っぽいのにした」
ab「なんかほんと、お花だね」
sk「だね笑、あ、ねぇ」
ab「ん？なぁに？」
sk「花言葉、調べてよ」
ab「んーと、アネモネ…ピンク、花言葉」

画面に表示された言葉は「希望」「待ち望む」

その瞬間、あの夢の意味を理解したような気がして思わず後ろから回される佐久間の手を握った。
それに気づいた佐久間は、少し笑って優しく握り返してくれる。

ab「なんか、今日の夢の意味わかったかも」
sk「ん？意味？」
ab「そう、佐久間そっち向いていい？」
sk「うん」

ぎゅーっと腰に腕を回して抱きしめる。
温かく優しい香り。包まれれば消えて行くような気がする頭痛。そのまま雨だってやみそうだ。

ab「今日、佐久間に会いたかったんだなって」
sk「…嬉しい」
ab「佐久間といたら全部が綺麗な色に見えるし、憂鬱もなくなる。だから佐久間は俺にとって待ち望んだお花みたいな人だね」
sk「…なんだよそれ〜、ちょっと泣きそう笑」
ab「泣かないでよ笑」
sk「亮平？」
ab「ん？」
sk「俺、ずっと一緒にいて亮平のこと笑わせるから。絶対に毎日楽しい人生にするから」
ab「…うん」

それはきっと、プロポーズみたいなもので。
あの夢の続きはきっと君と華やかな毎日の始まり。