すのまんまの9人 3 (ページ39)

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目が覚めたのは9時。
今日はオフだから安心した。

こんなに深く眠ったのは久しぶりだった。

体を起こそうとするとお腹辺りに重みを感じる。

dt「…あれ、翔太」

布団を捲ると、翔太が俺を抱きしめて寝ていた。

(今日、仕事じゃ…何時から…)

dt「翔太、翔太」

少しだけ翔太の肩をさする。
全然起きない。

久しぶりにちゃんと翔太の顔を見る。
いつでも綺麗な肌。昔から変わらない端正な顔立ち。
少し切れ長の目も、ぷっくりした唇もその上にいる黒子も。

幼なじみだった時とは、違う気持ちで見ている自分。

翔太に触れている手に体温を感じる。
そういえば眠くなると少し体温が上がるんだっけ。

それは、夢で感じたあの蒼の温かさ。

そうか。俺は翔太を求めて探してたんだ。

nb「んあれ…」
dt「起きた？」
nb「んっ…」

ぎゅーっと巻きつく腕に力が入る。

nb「今なんじぃ…？」
dt「9時だけど、仕事は？」
nb「ご、ごから…ん…」

既に二度寝しそうなとろんとした顔。

dt「翔太」
nb「…んん？」
dt「また寝ちゃうの？」
nb「なんで…？寂しい？」
dt「んーん…俺も一緒に寝ようかな」
nb「うん…」

モゾモゾも隣に寝ると、寝ぼけながら近づいてくる。
翔太の方を向くと思ったより近くに顔があって少し驚く。

(肌…綺麗だな)

頬を撫でる。
眉間に少し皺ができる。

dt「ごめんごめん…」
nb「りょおた…」
dt「ん？」
nb「…っき」
dt「…え？」
nb「…好き…」
dt「……っ」

お試しだなんて言い訳をつけて、
いつでも幼なじみに戻れるようになんて保身に走って。
本当は全然勇気なんてなかった。

守れる自信も、傷つかない心も持ち合わせてなんかない。
それでもいいよと言ってくれたから。

恋人になってからの翔太は、少しずつ恋人らしい時間をくれて、なんなら翔太から歩み寄ってくれて。

本当にこのまま恋人になってもいいのかなんて思ってるうちに、お互い忙しくなって会えなくなって。
その間に幼馴染に戻ってしまいそうな気がして不安だったから、あんな夢を見て。

寝ぼけてる翔太の言葉が嘘か本当か分からない。
ただその短い魔法の言葉は思ったより効果絶大だった。

dt「翔太…」
nb「……」
dt「俺も好きだよ…ちゃんと付き合って」

夢の中の翔太に聞こえてたら。
淡い気持ちを胸に。

安心できる蒼を求めて深く落ちていった。