枷【オリジナル】 part２ (ページ13)

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１３：青野雅尋

「また怪我したって・・・どういうこと？」

青野は、医務室のベッドの上に座っている成宮を、見下ろした。

「そんなに、怒んないでよ・・・」

成宮は、ふてくされたように言った。

青野は、ため息をついた。

「どこ、怪我したの？」

青野と一緒に来ていた藤堂が、成宮にたずねた。

「腕」

成宮はそう言って、制服の袖をめくった。腕には、痛々しい包帯が、まかれていた。

「あと、腰もやった」

青野が、何かを言おうと口を開いた。それを見た成宮が、慌てて言葉を続けた。

「でもね、見たの。犯人を」

「・・・誰だったの？」

藤堂は、聞いた。

「顔は見えなかったけど・・・。狩人と一緒だった」

「狩人・・・？」

青野は、頭の上に、ハテナマークを浮かべた。

「妖精の名前だよ」

と、藤堂が青野に教えた。

「でも、この学校にいる狩人って、みんな校長に仕えているんです。だから・・・多分あの狩人

は、外から入ってきた妖精で、生徒を操ってるんだと思うんだけど・・・」

「つまり・・・どういうこと？」

話の内容が理解できず、青野は首をかしげた。

「勝手に入ってきたなら、追い出すだけでいいけど、闇の組織と関わっているかもしれないってこ

と」

藤堂の説明に、成宮は頷いた。

「・・・青野さん、選手はもう時間ですよ？」

成宮は、時計を指さした。

「じゃあ・・・行ってきます」

青野は、名残惜しそうに、藤堂と成宮に手を振ると、医務室から出ていった。