検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:45,013 hit

綺麗なお姉さん ページ5

「あなた面白い人ね」


甘い香りと花の匂いのする素敵な彼女は微笑みながら話しかける。
こんなに美人な人は今まで見た事がなかった。

真っ赤な顔のまま恥ずかしくて俯いてしまう。


「お嬢さん。これ、あげるわ」


くれたのは白い包み紙に包まれた茶色の四角のお菓子。開けると甘い香りが鼻をくすぐる。


「キャラメルっていうの」

『あ、聞いたとあります』


食べてみると佐藤とはまた違う甘さがありねり飴のような食感もした。

甘くてほっぺが落ちそうだ。


「気に入ってくれたならよかった。浅草に行くの?」

『は、はい!少し用事で』


ならこれをあげる。とまたなにかをくれた。
小瓶になにか入ってる。


『?』

「困った時に使って」


バスは浅草へと着いてしまった。
もう降りないと発車してしまう。なんとか彼女にお礼がしたくて名前を聞こうとすると


「また出会うわ。その時に」


と言って外まで押し出されてそのままドアが閉まってしまう。
彼女はニコニコ笑いながら手を振ってバスが見えなくなるまでそうしてくれていた。
素敵な人だった。

あんな風な大人になれば私もみんなから認めて貰えるのだろうか。


....。


浅草はやはり人も多く私がいたところよりも大きな建物や店が多く並んでいた。

田舎暮らしの私にとってバスもこの街並みも人混みも全てがね珍しく輝いて見えた。

だけど、遊びに来たわけじゃない。
鬼を殺しに来たんだ。

角を曲がってまっすぐ進むと目の前には壁があった。
たまに鬼がこういう風に隠れ家を作ることがある。

そのまま臆せず進むと、やはり隠れ家があった。


「こりゃあ上物だ。こんな美味そうな女は見たことがねぇ」


目の前には裂けたように大きな口を開けた怪物がいた。


あぶかなかった。
少し反応が遅かったらあの大きな口に丸呑みにされていた。そう考えると冷や汗がとまらない。


「肉付きといいその雰囲気といい美味そうだ」


ヨダレを垂らしながらさっきの見た目とはかけ離れた僅かに人の形を保つ鬼へと姿を変える。
あまりにもおぞましい姿に足が震える。

叫びたくなる恐怖を飲み込み、ケースから包丁を構えた。


『夢幻の呼吸 壱ノ型 浦島』


飛び上がり肉の塊を断つかのように力いっぱい振り下ろす。

すると、鬼の穴という穴から血が吹き出て私の顔にまでかかってしまった。
血を脱ぐって鬼を見ると、血が抜けきった鬼はミイラに近い状態となってしまった。

浦島太郎は最後に箱を開けてお爺さんとなる。

今がそのような感じだろうか。

出会い→←嫌いなあの子



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
146人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みゅー(プロフ) - 小説すごく面白いですね!応援してます!更新頑張ってください! (2019年10月22日 13時) (レス) id: d84ed5b956 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:甘喰い | 作成日時:2019年9月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。