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守ってあげたかった ページ18

首を落とした鬼の横を通り、伊之助くんに駆け寄る。


『伊之助くん!伊之助くん!大丈夫?』

「...あー!!あの時の着物女じゃねーか!!」

『き、着物女...というよりひどい怪我!』

「お前、凄いな!十二鬼月を倒すなんてな!俺と勝負しろ!」


全部人の話を聞かないタイプだ。
十二鬼月でもないし、酷い怪我で勝負なんて無理だし、そんな時間ないし。

どうしよう....累や彼女が心配だ。
でも、伊之助くんの怪我もほっとけないし...すると、隠の人達がやってきた。

....もう行ってもいいかな?

何も言わず行くと後ろから大声で「勝負しろ!!」と聞こえた。

回復してまた出会った時が怖い。



累を探した。

どこにもいない。彼女もどこにもいない。

どうして?

少し開けたところに出た。

目の前には炭治郎くんと禰豆子ちゃん。それに水柱の人。

そしてそこには────

累がいた。

待って。やめて。殺さないで。
約束したの。彼ともう人を襲わないって。
人を食わないって。

だから


『殺さないでぇ!!!』


静かに斬った音が聞こえた。
ズルッという音をたてて累の首が落ちた。




視界が崩れる。歪む。
....首を斬られたのか。

あの兄弟の絆が欲しかった。どうしても欲しかった。


『もう人を襲わないで』


そう言われた。口約束だけの上辺だけのつもりだったんだ。

あの子を手に入れれば別によかった。

だけど、あの兄弟にトドメを刺すのをためらった。
あんな約束しなければこんなことにはならなかったのに!!

クソッ!クソッ!

このまま死ぬのか!嫌だ!そんな嫌だ!


『累!』


暖かな声と体温が体に伝わった。

アイツが抱きとめていた。鬼殺隊であるはずの彼女が鬼である俺を。


『ごめんね!ごめんなさい!守れなくて!』


...。守る...僕を守れた兄弟も親もいなかった。
僕が1番強かったから。

もし、大人しく待っていれば彼女に守られながら、彼女を守りながら兄弟のようにやっていけただろうか。

後悔してもなんにもならない。

眠くて眠くて仕方がない。

父さんと母さんに....謝りたい。

暖かい。



累の着物を残して累は消えた。
跡形もなく全部。

鬼は亡骸も残らないのか。
鬼になりたくてなったわけでも、人を食いたくて食ってるわけでも、消えたくても消えてしまう記憶。

辛いのにしんどいのにどこにも行き宛てがなくて。

最後は寂しく終わるなんて...


『そんなのあんまりだよ...』


柱がいるってことはもう大丈夫だろう。
もうすぐ柱合会議だ。

嫌だな。

あのお母さんの着物も探して持って帰ろう。

水柱さん→←家族



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みゅー(プロフ) - 小説すごく面白いですね!応援してます!更新頑張ってください! (2019年10月22日 13時) (レス) id: d84ed5b956 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘喰い | 作成日時:2019年9月25日 21時

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