検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:4,230 hit

十話 ページ11

『は.....か.....破怪!!破怪!!』



名前を呼ばれてハッとする。

ムスッとした顔で彼女が見上げている。



『ちょっと聞いてんの!?浴衣どう?って』



そう言ってくるくると回って見せる。

少し破怪は考え込んだ素振りをして口を開けた。



「馬子にも衣装だな」


『それって....褒め言葉...じゃないし!!』



ぷんすこ!と怒る姿に少しおかしくて吹き出してしまった。

喜怒哀楽の激しい彼女を見ていると少し不安が軽くなる気がした。

自分までもそうなった気がして。



『あ、りんご飴。食べよ。買ってあげる』


「またお前は....己のために金は使えと....」


『ううん。お礼。助けてくれた』


そう言ってりんご飴を差し出してくる。

それを受け取り、彼女と一緒に食べた。

甘い味が口に広がった。



しばらくすると花火があがった。

大きな音と共に、夜空に綺麗な花火があがる。

花のように咲く。



『綺麗だね』



そう言い、花火を見上げる彼女を少し見てからまた花火を見る。



「ああ、確かに。綺麗だ」



花火が終わり、みなぞろぞろと大量に帰り道を目指す。

その人の多いこと、多いこと。

あっという間に2人とも押し流されてしまう。



「おい、A!」

『やばい....流される!破怪ー』



あっという間に人に揉まれ、離れ離れになってしまった。

しっかり手でも握っておけばよかったと思いながら
人混みに流される。

だが、破怪ならばきっと見つけてくれるだろうという何故か安心感があった。



すると、手を掴まれた。


ほらやっぱり。と、顔を見ると。



『誰?』



知らない男。

黄金の瞳に鋭い目つき。歌舞伎のようなメイク。

彼女を見る表情は焦ったような、困惑したような、驚いたような。

なんとも言えない表情。

腕を強く、つかみ離さない。



「見つけた」



そう言い、こちらを見つめる。



『だ、誰?えと...人違いじゃない?ま、間違えたー的な....は、離してくれる...?』



少し恐怖を覚え、腕を離してもらおうと身を捩ったり、穏便に離してもらおうと笑顔を作る。

どこかのセクハラおじさんより怖い。



「間違えぬ...間違えるものか。お前は...蜜」



聞き覚えのない名前。

やはり人違いなのだが、全くこの男離す気配がない。

この執着はさすがにヤバいと感じたのか、本格的に抵抗を始める。



『ほんっとに!!違うから!!私の名前はA!!』



そう言い、無理やり手をふりほどき人混みに紛れて奥へと逃げる。

男はその様子をじっと見ていた。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←九話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
10人がお気に入り
設定タグ:妖怪ウォッチ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

乃葉 - もう続きが気になって夜しか眠れません…!!ひっそりと次の更新をお待ちしております!! (2021年10月9日 21時) (レス) @page9 id: 79598a89ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:甘喰い | 作成日時:2021年6月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。