あんたキス下手だね【五色 工】

▽ ページ12

そう言って差し出されたのは、何枚かの写真の束で。




「これバレー部の昨日の試合の…」


「あっ、意外って思ったでしょ？こう見えても写真とかそういうの、大好きなのよ」




可笑しげに、目元を細めて綺麗に笑ってみせたその人に、なんていうかもう、あれだ。





「白布に頼まれててねー」




クールそうな見た目に反した

その無邪気な感じに




心奪われたっていうか。




心臓鷲掴みにされたっていうか。





それでまぁ、




気づいた時には





「好きです」





告ってて。




……告って、て。




……え、……告ってて？





「……はっ？」


「え……？」





なんていうか、絶句



いや一目惚れしたのは確かなんだけどもっとムードとかさ


夜景の綺麗な観覧車で告白とか

静かな公園のベンチで告白とか



あれまて俺夢見すぎか




……っていうのはどうでもよくて！




告白した俺が戸惑ってちゃ駄目だろう。




それでも俺自身なにが起こっているのか、なにを口走ったのか正直理解できてはいない。





「俺今好きっていいました？」


「え……あ、聞き間違いで無ければ、多分？」


「まままじすか」





もしかしてがないかと確認してみるけれど、やっぱりそんなのはないみたいで


そんな俺が可笑しかったのか




本当に、なんだったのか




不意にその人は、





「かわいいね、あんた」





俺の頭を、撫でた。

▼→←▼

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す