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「個性把握テスト！？」
額を押さえたくなるのを寸前で止める。無理だろ。個性把握テストとか、まず自分の”個性”を知らないのに把握できる訳がない。どうしたらいいんだ、これ。
しかも話はどんどん進んでいき、最下位には除籍処分。ため息しか今は漏れ出ない。どうしろと。私にどうしろと言うのだ。
今すぐ逃げ出したい気持ちを押さえてまずは”個性”が何なのかを考える。……けど浮かぶ訳が無い。まず第一にこれまでに材料になる場面があったか？ いや、完全に無かった。ある訳が無い。ため息がまた出る。
半ば投げやりな気持ちでいれば、遂に私の番に。……もう、普通に走るしかないのか。他に方法は無いだろう。
スタートの線の前に並んでクラウチングスタートの格好をする。すると突然”あなたにとって一番速いと思うものを上げてください”という言葉が頭に響き渡った。さっきの一番速かった飯田君の”個性”を思い出して、「え、エンジン？」そう声にすれば、”分かりました。では足に力を込めてください。足から力を抜けば止まります。ではご武運を”という言葉が頭に響き渡った後に「スタート！」聞こえた機械調の声で思わず足に力を込めれば、「ゴール！」いつの間にかゴールしていた。え、え、え、……え？ 足の力を抜いて自分の足を見る。……え？ 何度も漏れる驚きに首を傾げれば、「え、あの子、飯田ってやつと似た”個性”使ってたよな？」とか、「というか速っ！ 2秒だって！」という声が聞こえてきて尚も首を傾げる。……え？
混乱に身を委ねそうになれば、相澤先生が「次行くぞ」と簡潔に言って次の場所を示す。次の場所は体育館らしくそちらの方を示していた。その声に皆もぞろぞろと歩き出す中、私はひたすらに首を傾げていた。……え？
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作者名：小春 葵結 | 作成日時：2021年4月20日 17時
