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上位を目指さない、とは言ったけれど、だからといって最初から手加減するのは違うから。ある程度の順位まで目指して、そこで敗退しようという作戦。一歩間違えれば壊れてしまう作戦だけれど、最早信じられるのは己の身だけだから頑張ることしかできない。アドバイスをくださった相澤先生には申し訳ないけれど。でもこれが私のやるべきことだと、勝手にではあるけれど思っている。だから、許してなんて言わない。ただ理解はしてください。……なんて、真実を伝える気のない私には言えないことだけれど。
最初の難関を超えた先には次の難関。入試の時に大暴れしていたはずのロボ・インフェルノ。私は生憎、実技試験を受けた覚えはないから初めて見るけれど。思った数倍も大きいそれは一歩間違えれば兵器のようだ。……でもそれは私のいた世界での話。超能力を当たり前のように持っている人間、特にヒーロー科には難なく超えられるだろう。確かこのあと轟君が凍らすはずだから……足の筋力増加させて飛んでしまおうか。
現れた一体のロボに向かって轟君が円陣を描いてから手を上にあげる。そうすればロボまで凍る姿に、凄いなぁなんて目を細めそうになるけれど、今はその場合ではない。崩れるところを一気にジャンプする。そのタイミングを見計らえば潰れるだろう。気をつけろ。気張れ。
不安定な体制で凍らせたためか、崩れていくロボに潰されないよう後ろに下がって様子を見る。倒れたロボを爆破させて上へと上がっていく姿に、またもや目を細めそうになりつつ便乗して駆けあがる。同じことを考えた人は他にも数名、特にA組に多かったらしく、同じように超えていく姿を見つつ自分も通過する。
走って抜けた先に見つけたのは落ちたら恐らくアウト、というより一溜まりもないような穴が点在するザ・フォール。要は綱渡りのようだ。ここは蛙吹さんの”個性”を使わせてもらう。空気を固めてその上を歩こうかとも思ったけれど、目立つ真似はあまりしたくないし。”個性”まねてしまったこと、後で蛙吹さんに謝らなくては。
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作者名：小春 葵結 | 作成日時：2021年4月20日 17時
