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「……つめたい」
落ちた場所は雨の降るビル街だった。
近くには口田君と常闇君が落ちてきている。確かここは暴風・大雨ゾーン。
下にいる敵達を目に入れて急いで”個性”を使う。頑丈である鷲の翼を頭に浮かばせてから「口田君！ 常闇君！」手を伸ばす。ついでに男の人を何人でも持てるよう腕力を増強させて。
手を伸ばした私に気づいたのか2人が私の手を握る。しっかりと握ってくれたことに少しだけ安堵し、飛ばされないようにしっかり翼を広げ飛んだ。人のいなさそうな場所を確認し、そこに降り立った。きちんと2人を地面に着かせてから。
「大丈夫？」
「……ああ」
私の疑問に常闇君は簡潔に、口田君は何度も頷いてくれた。よかったとホッと息を吐き、しかしすぐに気を引き締める。
「2人の”個性”は何？」
「俺は黒影。伸縮自在の影のようなモンスターをその身に宿している」
「ぼ、僕は動物を声で操ることができます……！」
「ありがとう。私は、……ちょっと説明が難しいけど。大抵のことは何でもできると思ってくれたらいいよ」
的を得ない説明に2人が少し不思議そうに首を傾げる。その様子に愛想笑いでごまかしてから顔を引き締め、口に出した。
「応援が来るまで敵を戦闘不能にさせよう。私は多分1人でいた方が2人もやりやすい、から」
曖昧な言葉でごめんなさい。
その言葉は口にせず、2人を見る。こちらをジッと見ていた常闇君は表情の読めない顔で、口田君はわかりやすく不安げにこちらを見て頷いてくれた。
「ありがとう。じゃあ一旦離れるね。……気を付けて」
脚力を増強させてその場を離れる。離れてから通信手段でも作って渡しておけばよかったかと今更ながらに考えたけれど、頭に靄がかかり始めたから急いで頭を振り払った。少しだけ体が重くなってきた気がする。でもダメだ。ここで倒れたら本末転倒。手を抓り見かけた敵に向かって足で蹴りかかる。跳ねる力だけでなく蹴る力も強くしたから大丈夫、なはず。こちらを見て声を跳ねさせたやつらに、今度は頑丈な蔓を這わせた。
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作者名：小春 葵結 | 作成日時：2021年4月20日 17時
