東さんの夢事情 (ページ3)

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ハッと意識が浮上する。目の前に見えたのは、どこか見覚えのある場所だった。なんとなく違和感を感じて体を見るとどこか既視感のある、でも少なくとも肉眼では見た事のない灰色の制服を着ていた。首元に付いているのも、あまり女子は付けなさそうなネクタイだった。しかも赤いネクタイ。
　ここで違和感が大きくなる。あれ、私はどうしてここに。……確か、死んだ、はずじゃ。
　胃の底からこみ上げてくる何かに思わず口を押さえる。思い切り吐いてしまえばいいのだろうけれど、何故か羞恥心があって吐こうにも吐けない。恐らく近くに私の様子を怪訝そうに見ている人達がいるからだろう。助けてほしいけれど、でも普通に無理だろうなぁ。こんな変な奴、関わるだけ無駄、

「大丈夫！？」

　吐き気を我慢しつつも動けないでいた私に声をかけてくれたのは、どこか聞き覚えのある可愛らしい声だった。下に向けていた目を上へ上げると、お茶子ちゃんが心配そうに顔を歪めてこちらを見ていた。……って、あれ、どうして私、この人のことを知っているの……？

「気持ち悪いの？待ってて……なんて悠長なこと言えないか。とりあえず木陰の方に行こう」

　有難い心遣いに感謝しつつ、お茶子ちゃんの手を借りて木陰の方へと進む。人の視線から逸れたことが分かった途端、思い切り胃の中のものを草木にぶちまけた。その最中、私の背をさすっていた温かい手が、現実味を持って私を刺激する。

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