東さんの夢事情 (ページ15)

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ところ変わって緑谷君と爆豪君の姿が画面に映し出された。
　オールマイト先生が減点の話をしだすと爆豪君は上げていた籠手のついた手を下ろし、緑谷君に向かって一度爆破、どうやら目くらましの様で飛び上がって緑谷君の後ろについた爆豪君はもう一度爆破。そして怯んだ彼に右の大振り。その右手で腕を掴み爆破で位置を変えぶん投げる。
　センスの塊。まさにそうだと思う。彼は確かに才能マンの人で、それが幼い頃から身についている。

　――では彼は？緑谷出久という名を持つ彼は？
　私の勝手な考えだけど彼は爆豪君と真逆の側面を持つと思っている。強い”個性”持ちに”無個性”。先の話ではあるけど勝ちたい思いに救けたい思い。そして……才能マンに努力家。
　彼は漫画の中で描かれているようにオールマイト先生に見初められた日から毎日のように努力して今の彼ができている。それは彼の素地であり、変えられない彼の個性。それが彼であり、何物にも代えることはできない。
　思えば歪だ。なんて彼の言葉を借りるけれど。真逆の要素を持ちながら、それでも幼い頃から共にいて。思えば当たり前なのだ。爆豪君が彼のことを悪く思うのも。だって違うのだから。”個性”も行動も思考すらも。何もかも違くて、だからこそ2人は反発し合いながらも後にお互いを吸収しようと努力する。吸収という言い方は悪いけれど。でも確かに物にして追い越しながらも先へと進む。

　ああ、確かに実際に見れて尊いと思うよ。これでもヒロアカが大好きだ。オタクで、ヒロアカの子達は皆推しで。でも、だからこそ。

「……やっぱり来たくなかった」

　漏れた呟きは誰にも拾われない。それもそのはず、戦闘訓練は終わりを迎えていたから。少しだけ騒めいた空気の中、1人顔を俯かせる。誰も私を見ることは無かった。ただ画面の向こうの迫力のある戦闘訓練を見せた4人の方を見ていた。

　良かったと。ただただそう思った。