30,豚 ページ37
信じられないほど大きな豚が商店街にいる。
ぞわぞわと鳥肌が立つ。此処は豚の住処だったんだ。
どこにいても、あの臭さは消えない。逃げても全部真っ赤。
それはつまり、何処にいても、同じということ。
私は商店街を歩き回る。
やがて辿り着いたのは、私のよく知っているところだった。
辿り着いた場所は、あの神社へと続いていた。
――あの豚は神社に住んでいるのかな。
そんなこと思っていたら、徘徊していた豚が此方にやって来た。
豚は、私を見つめている。鼻をクンクンしているけれど、突進してくるような素振りはない。
――もしかしたら、話せばわかるかも。
あの男の人だって、煙草をを返したら追ってこなかった。
この豚も何かを返してほしい――あるいは聞いてほしいことがあるのかもしれない。
でも、何も持ってない。豚がしてほしいことも分からない。
商店街を回って探すべきかな、と思っていたら。
トゥルルル
またしても、電話の音が聞こえた。
私をこの世界に導いた、公衆電話の音だ。
この近くにも電話があるみたい。ソレまで見つめていた豚の顔が電話の鳴っている方へ向いて、此方を向き直った。
「もう一度、電話に出ればいいの？」
恐る恐る、聞いてみる。
豚の気持ちは相変わらずわからないけど、出ろ、と言っているのかな。
トゥルルル トゥルルル
電話は鳴り続ける。放っておいたら、切れてしまうのかもしれない。
「分かった。もう一度、出てみるね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Noel、wrwrdリスナー(プロフ) - 有難うございますッ!一回死んで来て生き返ってきます。 (2018年7月1日 18時) (
レス) id: b3f5fdbec1 (このIDを非表示/違反報告)
鬼龍院リュナ(プロフ) - お返事ありがとうございます！！新夜廻の方も見ました！！やっぱり凄い(語彙力破裂) (2018年7月1日 12時) (レス) id: d64f2d8932 (このIDを非表示/違反報告)
Noel、wrwrdリスナー(プロフ) - 鬼龍院リュナさん» お返事遅れましたすみません…ですが、有難うございます!出来れば、深夜廻も…(宣伝するな) (2018年6月28日 7時) (レス) id: b3f5fdbec1 (このIDを非表示/違反報告)
鬼龍院リュナ(プロフ) - ゾムさん夜廻さん当たり役やん...。あ、面白く読ませていただきました！これは凄い(語彙力消失) (2018年6月27日 12時) (レス) id: d64f2d8932 (このIDを非表示/違反報告)
Noel、wrwrdリスナー(プロフ) - オーバーしてしまったので、「２」いきます。44話からはそちらです。 (2017年11月7日 18時) (レス) id: b3f5fdbec1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Noel、wrwrdリスナー | 作成日時：2017年9月10日 16時
