9,出 ページ10
あの帰り道に、マンちゃんの家に寄った。誰もいなかった。
もう遅い、そう思って、家に帰った。両親は引っ越しの手続きで暫く家に帰ってこない。
夜の町は、恐ろしい位変わっていた。あの鹿の角を持つ黒いナニカ以外にも外にいた。
夜は変わり続けている。昼は人間が出歩き、夜はナニカ達が出歩く。
そして、襲われる。
「マンちゃんからの連絡がない…。」
あれから時間は経っているはずだ。それなのに、電話はない。
「…まだ帰っていないのかな。」
もう時計は8時を指す。心配だから、迎えに行くことにした。
「そうだ。あのお守り持っていこう。
お守りが守ってくれるはず」
小さい頃、隣町で買ったお守り。今では糸が解れ、ボロボロになっている。
準備が出来て、一階へ降りた。靴を履いて、ガラガラと音を立てる玄関を開ける。
階段を下りた矢先、小さい影があった。最初はナニカだと思っていたが、違った。
小さくて毛がモフモフの犬。あの時、一緒に看板の裏に隠れた犬。
その犬は見向きもせず、走り去っていく。
ついて行ってみることにした。まるでその行動が正解だと言う様に「ワン」と鳴き声がした。
犬が見ているのは掲示板だった。
そこで初めて気が付いた。
「君はマンちゃんが飼っている…」
この犬はマンちゃんが飼っていた犬の一匹。もう一匹はどうしたのだろう。
マンちゃんの犬は俺の側へ駆け寄り威嚇するように声を上げ、暗闇へ走り去っていった。
「あ…待って」
行った時にはもう遅く、もう見えなかった。
「行っちゃった」
俺は、懐中電灯の光を、掲示板に当てた。
其処には
「マンちゃんの写真が載ってる!記事を読んでみよう…」
『小学生の男の子が行方不明になっています。見かけた方は以下の電話番号へ…』
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作者名：Noel、wrwrdリスナー | 作成日時：2017年12月4日 19時
