【wrwrd】夏が終わるその前に【深夜廻】 (ページ8)

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奴等に会ってから、急ぎ足で山道を歩いた。

何の変哲もない石を拾ったり、大嗣にあげたら、野球を始めてしまいそうな位の大きな松ぼっくりを拾ったり、など寄り道をすることもあった。

唯、奴等にあって隠れた時の草むらは点々とあった。それはナニカが現れるような暗示をして、夜を彷徨うナニカ達がやってくる。

もしそれに見つかったら、草むらに隠れる。その繰り返し。

そしてやっとの思いで、町まで戻ってきた。俺の側にお地蔵さんがあり、丁度十円玉を持っていたからお供えした。怖がっていた心が安心を取り戻してきているように感じる。

合掌を終え、コケの付いた階段を降り、落ちていた十円玉を拾って、左に一歩進んだその瞬間、

あのうめき声の様なものと共に、あの黒いナニカがタックルの様な感じでやって来た。

走って逃げた。あのナニカは山と同じような速さで追いかけてくる。心臓がバクバクいっている。

ふと、俺の目に生き物が映った。犬だ。

もこもこの小さい犬。

その犬は看板の後ろに隠れた。

――あの後ろに隠れば、問題ないだろうか。

その看板へと隠れる。もし見つかったら一巻の終わりだ。

隠れた後、ソイツは、その看板の周りをうろついていた。気付かれてはいないようだ。

そして、元来た道―、山へと帰っていった。

去った後、奴がいないことを確認して、前を見ながら後ろへ歩き、走って逃げた。