6、逃 ページ7
夜の暗闇よりも真っ暗な足と体は、人の顔したようで人ではない顔とシカの様な角を持っている。
異様だ。それに怖い。二の腕の鳥肌がプツプツと立つ。
一歩、このナニカは、近づいた。変な雄叫びをあげた。
その瞬間、俺は逃げた。
反射だ。捕まったら、ただでは済まないような感じがする。
幸いにも、鈍間な時もあって、曲道などもあり、距離を縮められる等との脅威は回避できそうだ。
ただ、こいつは光は効かないようだ。さっき電灯があって、少しは弱まるかと思っていたが、弱まらなかった。
でもいい、このまま行けば、町まで下りられる。
走りながらもホッとしたその瞬間だった。
仲間なのだろうか、手前にあのナニカと同じようなやつが現れた。
挟み撃ちだ。これはまずい。
焦って脳があまり回らない俺の横に、草むらがあった。さっき隠れていた草むらと同じ大きさだ。
――もしかしたら。
俺は、草むらの中に隠れた。一か八か、もしかしたら、見逃してくれるかもしれない。
怯える足を手で押さえた。ナニカの声が聞こえて、今度は耳を押えた。
俺の周りを徘徊するナニカは近くを来ては、遠くへ行って、近くに来ては、遠くに行って。その繰り返しだった。
数分か経って、ようやく、気配が消えた。こっそりと、草むらから出る。
あのナニカはもういない。
「早く、下山しよう」
急ぎ足で、山道を歩いた。
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作者名:Noel、wrwrdリスナー | 作成日時:2017年12月4日 19時