5、始 ページ6
草むらに隠れて何分か経った。震えていた足も少しだけ治まってきた。
マンちゃんは何処まで進んだのだろうか。一向に戻ってくる気配がしない。
もう、先に帰ってしまったのだろうか。
そう思うと、また足が震え始めた。
――早く、帰ろう。
こっそりと出てきた俺は辺りを見回した。
当然、マンちゃんはいない。懐中電灯がないせいか、辺りは真っ暗。
「マンちゃん…戻ってこない…何かあったのかな?
何が、起こっているんだ…?
…俺も行こう」
そう決心はしたけれども、橋の先はかなり暗い。
でも、進まないと、家に帰れない。
明かりもなしに俺は橋を渡る。
ギシギシ、と音を立て、橋はうめき声の様なものを上げる。
少し歩いた先に明かりが見えた。電灯だ。
これが最後の電灯、ということだろうか。他のよりもやけに明るく見える。
そしてまた歩いた先に、それよりも強い光が見えた。
電灯ではなかった。
「これは…」
マンちゃんが持っていた懐中電灯だった。
「どうして此処に?」
疑問に思いつつ、その懐中電灯を拾った。まだ、温もりがある。
「俺が、隠れている間に落としたのかな」
それだったら、大変だ。
今、マンちゃんは一切の明かりを持っていない。そんな状態で歩いていたら、転んでしまう。
「帰り、マンちゃんの家に寄ろう」
寄って、この明かりを返そう。
「…一回、つけてみよう」
無許可ではあるけれど、つけてみることにした。後で話せば、分かってくれるはず。
スイッチを入れる。カチッと音がする。
しかし、真っ暗だ。壊れたのだろうか。
上を照らす。すると、其処には――、
何とも言えない、ナニカがいた
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作者名:Noel、wrwrdリスナー | 作成日時:2017年12月4日 19時