【wrwrd】夏が終わるその前に【深夜廻】 (ページ33)

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パチンパチンと針金を切る。

全て切り終えたころ、手の感覚は麻痺している様な、何とも言えない感じだった。

地面に置いた懐中電灯を拾い、中に入る。

建物の中は予想以上に壊れていた。

入って最初に見たのは二つ。

一つは体を震わせていたネズミ。一つは床。

屋敷が廃屋になったのは、火事だと聞いた。でも

床は焼け落ちた、というより解体業者の人たちが壊したようにも見えた。

そして、気になることは一つだけあった。

マンちゃんの犬は、どうして、こんなところに来たのだろう？

図書館と同じように此処にマンちゃんがいるのだろうか。

だったらどうして、こんなところに来たのだろうか。

この屋敷を所有していた一族は「仁修治」という名前だった。

学年にもそんな名前の人はいないし、上級生だったら、インフルエンザみたいに伝染していって、やがて自身の耳にも届くはず。

じゃあ、マンちゃんの昔の友達??

友達だったとしても、同じ町に住んでいるのだから、会えるのに。

頭を悩ませて、床が抜け落ちていないところを歩く。

曲がり角を進むと扉。

其処を開ける。