３２、屋 ページ32
町の奥に建てられた屋敷は、この前、マンちゃんに教えてもらった「西洋」と言われるところの建築法にとても似ていた。
とはいっても、誰も住んでいない。住んでいたら驚きだ。
さびた色のする赤レンガには苔がついている。
庭もあれていた。草がいっぱい生えている。
そんな屋敷の中に、マンちゃんの飼っていた犬は居た。
少し歩いて、「ワン!」と鳴くと何処かへ行ってしまった。
行こうとしても、前には「火気厳禁」と書かれた紙が貼られている柵がある。
遠回りをして、中に入らないと。
遠回りの道のもナニカはいた。
顔だけがあって黒っぽいムラサキっぽい煙をなびかせて追いかけてくるナニカがいた。
その道には掲示板があった。
『キケン
この先、火事現場。
倒壊の恐れがあり、立ち入りを禁ずる。』
にじんだ文字でそう書かれていた。
その掲示板に書かれていた言葉を無視して、先へ進む。
入った先にあるのは荒れた庭。
厳重に中にも柵があった。
葉が全て落ち、傾いた木の隣には畑なのか、それともゴミを捨てる所なのか、そんな場所があった。
懐中電灯で照らす。何かが光った。
近づいて、拾う。
茶色に錆びたペンチが落ちていた。とても、重い
漫画で一回見たことがあるが、実物は初めて見た。
玄関へ行くと、扉は棘の付いた針金が巻かれていた。
一つ、思い出す。
先生に質問したことがある。
ペンチって、何に使う道具なのか、と。
先生は
針金やくぎを曲げたり、ねじったり、奥には刃がついているため、切断もできる、と答えた。
扉にまかれた針金は、これで切るんじゃないかと。
ペンチを取り出して、針金を切断しようとする。
切断には中々の握力が必要で、全然きれなかった。
懐中電灯を置いて、両手で、ペンチを握る。
パチン、と音がした。
一本、切ったのだ。
これが、クラス一、握力の強い劉なら、早く終わりそうなのになぁ…
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作者名：Noel、wrwrdリスナー | 作成日時：2017年12月4日 19時
