28、影 ページ28
服は黒ずんでいて、目は影が落ちていて見えない。ドッペルゲンガーのようだ。
俺(?)は笑いながら、俺を襲ってきた。
消えたと思えば別方向から現れる。
どうしようもなく、唯々走ってる俺は一つ、言葉を思い出した。
『鏡にモノが映るのは、光が反射するため。光が無ければ鏡にモノは映らない』
ランプの光を全て消せば、消えるのではないか?
俺は左下にあるランプを消すために走る。
図星の様で鏡のナニカはそれを妨害してくる。
その壁を乗り越えて、光を消す。
鏡のナニカは尻もちをついて、消えていった。
後三つ。後三つ消せば、何かも消える
光を消す度にナニカの数は増える。
のらりくらりとかわして、俺は光を消す。
そんな追いかけっこは長く続くはずもなく、気付けば、最後の一つを消していた。
鏡に、近寄る。
鏡は光らず、何も映さない。
ふと、足元に目をやる。
ボロボロのシーツが落ちていた。
そこで、理解する。
図書館の人たちもこのことを知っていたのではないか、と
だから、誰も立ち入らなさそうなこの場所に鏡を置いて、万が一光が反射しないように、シーツを掛け、こんなことを二度と起こさないようにしたんじゃないか、と。
「もう、大丈夫だよな…」
その場に座り込んで、ため息をつく。
此処にもマンちゃんは居なかった。
「…探さないと」
俺は立ち上がって、図書館を後にした。
夜の町は何もかも恐ろしい。
良く知っている場所でさえ、何処にいるのか分からくなっている。
俺しかいない筈なのに、足音だけがついてくる。
そのせいか、今は風の音さえも恐ろしく感じる
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作者名：Noel、wrwrdリスナー | 作成日時：2017年12月4日 19時
