23,土 ページ23
ソレが現れた時、俺は正直驚いた。
人形を切って、何処かに姿を消したグルッペン様がまた、こうして目の前に現れたのだから。
グルッペン様は、真っ直ぐ俺に切りかかった。
また、避けた。本当に今のはまぐれではないか?というぐらいに。
いきなり切りかかるのだから避けるのは難しいはずだ。反射神経はクラス一を誇る利奈位の反射神経じゃないと避けれない。
グルッペン様は、煙のようにまた消えた。そして、俺の後ろに現れた。
離れようとした俺をまた、斬りかかろうとした。
また避けて、展示台のガラスを切り、割った。硝子は跡形もなく粉々になっていた。
走って、逃げた。
あの人形を思い出す。
自分もああなってしまうのか。
嫌だ。それだけは絶対に。
2回目だから、攻撃はほとんどよけれた。一つだけ、初めてみた行動もあったが。
逃げている最中、一つの物に目をやった。
手足があって、首もある。硝子の中にそれはあった。
それは土偶だった。
一つ考えが思いつく。
これをグルッペン様に差し出せば許してくれるのではないか?
此処の人には悪いが、仕方がない。生きる為、マンちゃんに会うため。
グルッペン様を土偶の入った展示台まで誘導する。
赤い裁ちばさみで硝子は粉々に砕ける。
中に入っていた土偶を俺は差し出した。
グルッペン様は消えた。と思いきや、後ろに現れ、俺はグルッペン様に向けて土偶を宙に投げた。
石を投げて地に落ちた音が聞こえた。
見た時、土偶は原形をとどめていなかった。ただ、人形と同じ道を歩んだだけ。
グルッペン様はまた、闇に溶け込むように消えていった。
奥からドアの開く音がした。
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作者名:Noel、wrwrdリスナー | 作成日時:2017年12月4日 19時