13、正 ページ14
橋を渡っていると、後ろから、刃物を研ぐ音がした。
後ろを振り返る。俺の真横に、血溜まりが出来ていた。その血溜まりの真ん中には手。
偽物とは思えないほどで来ている手。本物の手だと思うと、鳥肌が立つ。
その手を見ないように、逆を向いた、その時、
あの人影が現れ、そのはさみで俺を切ろうとした。
反射でそれを避けた。よく回避できたな、と、俺は思った。
黒い軍服のような服、左腕には紅い腕章、服とは真反対の金髪。感情のない冷たい目、目が悪いのか、眼鏡をしている。
間違いなく、此の町で恐れられている、ナニカ――グルッペン様だ。
グルッペン様は、その刃先を向けた。
次はお前だ、とでも言う様に。
走って逃げた。
血溜まりがたくさんあった。お気に入りの白い靴も紅く血で汚れてしまった。
止まったかと思えば、真っ直ぐ突き進んで空を切る
所かまわず空気を切るグルッペン様、逃げ惑う俺。まるで地獄絵図の様だ。
しか、逃げた先に、ゴミ捨て場があった。そこには、赤い髪をしている人形があった。
あのメモに書かれていたことを思い出す。
『グルッペン様に出会ったら、
手と、足と、首の、あるも、の、を渡す、事…」
手と足と首――、人型の者を差し出せば許してくれるに違いない
ゴミ捨て場に置いてあった人形を差し出す。
グルッペン様は消えて、消えそうな街灯の下に現れ、切った。
人形は無残にも、四肢を切られ中の綿が出ていた。
女子は誰かにこんなことをされると、泣き止まないだろう。
人形を切って、満足したのか、グルッペン様は消えていった。
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作者名：Noel、wrwrdリスナー | 作成日時：2017年12月4日 19時
