【wrwrd】夏が終わるその前に【深夜廻】 (ページ11)

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あの掲示板を見て、俺はマンちゃんが飼っていた犬の方向へと歩いて行った。

手には懐中電灯。それも、あの日マンちゃんが持っていた、懐中電灯。

それを思うと、心が締め付けられるような痛さを感じる。この光だけでも、返さないといけない。

歩く道には必ずナニカがいる。一週間が経って死んだ蝉なんて、夏によく見かける。

走って逃げた先は行き止まりで、よくクラスの拓翔が作っては投げていた、紙飛行機が落ちていただけで、川からやって来た煙のナニカが出てきたときは正直、怖かった。

そんなこんなで逃げて、歩いた先に紙切れが落ちていた。子供っぽい字で書かれていて、何処か見覚えがある。

『お化けに出会ってしまったら気付かれないように歩くこと』

それが内容だった。俺と同じように夜を彷徨っていた子供がいたのだろうか。

紙切れが落ちていた近くにお地蔵さんがあった。石や十円玉しかなかったので、十円玉をお供えした。

「また十円か!しゃーないな!」と声が聞こえた気がする。気のせいだろうか。