王様のCANVAS Ⅱ【Reo】 (ページ6)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:32,049 hit

56 ページ6

*

『いや、でも、そんなちゃんとやったことないし……ほら、勝手に知らないとこで描かれてたのとは違うじゃん？』

「そうだな……3時間くらいじっとしててくれれば。まあ途中俺も休憩するし」

『大丈夫かな……』

「大丈夫だって！ポーズどうしよっかなあ……そこ、横になって」

アトリエには緑色のソファーがあって
そこに横になるように指示される。

『……こう？』

「うん、いいよ。そのままね」

20分か30分くらいに1回、休憩をくれる。
それ以外は基本的にずっと肘掛けにもたれて
横になったまま。

あまり視線も動かすと怒られると思ったけど
時折玲於の表情を盗み見ると、とても真剣で素敵だった。

「うん、大体いいかな。Aさんお疲れ様」

『できたの？』

全部で3時間くらい経って、描いた絵を見せてもらう。

『わあっ……』

水彩の柔らかいタッチで、かつ写真のようにリアル

見た者を惹き付けるような鮮やかさがあって

『すごい……でも、わたしこんなに綺麗じゃないよ？(笑)』

「えー？(笑)……Aさんは綺麗だよ」

『……恥ずかしいな……ありがと』

立って絵を見ていると、そのまま後ろから抱き締められる。

「俺さ、ずっとAさんとこうしたかった。探偵使って調べてもらって、無理矢理連れ出してでも手に入れたかった」

『その発言、本当に王様みたいだね(笑)』

「そうだよ？俺、"REGULUS"。"王" だから」

そんな王様の描く絵はとっても繊細で、

玲於の人柄が表れてると思う。

王様のキャンバスには、

今日も彼の想うカラフルで素敵な世界が描かれる。

Fin.

*