王様のCANVAS Ⅱ【Reo】 (ページ4)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:32,056 hit

54(Reo side) ページ4

**

俺の精一杯の告白の返事も曖昧なまま

Aさんにキッチンに連れて行かれる。

涼太くんはいつの間にか帰ったようだ。

冷蔵庫から具材を出してまな板に並べられ

『はい、切ってみて』

言われるがまま包丁を持つと
具材を切る前から直される。

『ちょっと待って、危ない(笑)この間もそうやって切ったの？』

お手本を見せてくれて、
俺の後ろに回って手を添えてくれる。

わざとか分からないけど
時折胸が当たるからドキドキしてしまう。

今朝Aさんが炊いた
ご飯の残りがあったのでそれを温め

予め溶いた卵と炒める前に混ぜ合わせる。

「先に混ぜるの？」

『玲於が作るならこうしといた方が楽だよきっと』

温めたフライパンに油を敷いてご飯を炒める。

『ほら、もっと手動かして！』

「こう？」

『そう、いいじゃん』

切っておいたチャーシューを入れ味付けし

仕上げにネギを散らす。

『おいしそう』

「うわーできた！よっしゃ」

『はい、食べよう！』

Aさんも嬉しそうで、テンションが上がる。

「『いただきます』」

「ん、うまっ」

『おいしいね！これで炒飯はもうひとりで作れるね』

そうだ、後日来て教えてくれる約束だったのに

「……炒飯以外は教えてくれないの？」

『教えてほしいなら、いつでも。玲於のために料理、作りに来てもいい？』

「それって、ハウスキーパーやってくれるってことでいいの？」

『ハウスキーパーはやりたくないなあ』

「え……」

『……彼女として、作りに来ても、いい？』

「はあーなにそれ、いいに決まってんじゃん」

ずるい。そんなAさんも好き。

*