王様のCANVAS Ⅱ【Reo】 (ページ17)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:32,050 hit

《Spin-off》王様のメモ帳④ ページ17

*

涼太の演奏を聴きに、玲於とジャズレストランへ行って

マンションに帰ってくる。

タクシーを降りてからもずっと手は繋がれたままで

エレベーターに乗って、玲於の横顔を見てると

初めて連れてこられた時を思い出す。

「……なに？」

『なんでもないよ』

「……そ」

なんかちょっとだけ機嫌が悪い気がするけど

いつもこんなんだったっけ……

最上階に到着し、鍵を開けて玄関に入る。

扉が閉まるなり、玄関の壁に押し付けられ

『……どうしたの』

心臓の音がめちゃくちゃうるさくて
玲於にバレないか心配になる。

「……Aさんなんか余裕そうでヤダ」

あーなんかこの間涼太にも同じこと言われたっけ……

『……余裕な訳、ないじゃん……』

「……え？」

『玲於が、カッコいいから。今だってドキドキしてる』

涼太には強がってドキドキしないなんて言ったけど

ドキドキしてるよ。特に玲於には。

「……そーなの？」

『……うん』

急に恥ずかしくなって、
目の前の玲於から逃げるように視線を外す。

でも簡単に逃してくれないのが玲於で

『……んっ……ぅ……』

キスされて、見つめられれば

「ちゃんと見てよ」

やっぱりもう逃げられない。

*