王様のCANVAS Ⅱ【Reo】 (ページ15)

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《Spin-off》王様のメモ帳③(Reo side) ページ15

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やっとAさんと付き合えたとはいえ

やっぱり俺ばっかりが好きな気がして

……そういえばAさんに

"好き"って言ってもらったことあった？

一応好きでいてくれてるような発言は何度かあったし

付き合うようになって身体も何度か重ねたし

俺を選んで一緒にいてくれるってことは好きだからって

そう捉えたいんだけど……

こんな不安になってたらみんなから
らしくないって言われそう。

「Aさん、涼太くんのピアノ聴きたいんだって？」

『あ、涼太話してくれたんだ。一応玲於に聞いてからじゃないとダメかなーって』

「いいよ、一緒に聴きに行こ」

『一緒に？』

「……嫌なの？」

『ううん、嬉しくて』

そう言って笑うAさんの顔は
昔ピンクのハンカチを結んでくれた時と一緒で

柔らかくて、優しい笑顔。

年上だからってなんか余裕そうでずるいな…なんて

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ある日の夜、涼太くんが今日演奏するというので
Aさんと出かける。

Aさんは髪を後ろにまとめ
紺色の背中の開いたワンピースを着て部屋から出てきた。

正直最初は顔がかわいくて優しくしてもらったから
っていう単純な理由で追いかけてたけど

今はそれだけじゃなくて、料理が上手なのもあるけど
一緒に過ごしてみてその人柄だったり、
どこか大人なところが好きだったりもする。

「綺麗だね」

『ありがと。玲於もカッコいいよ』

「ん。どーも」

タクシーに乗って、ジャズレストランへ向かう

REGULUSとしては有名でも
顔は基本バレてないので普通に外出するし、
何も問題はない。

タクシーの中でそっとAさんの左手を繋ぐと

Aさんの方から俺を一切見ずに指を絡めてきて

不覚にもドキドキしてしまう。

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