君の名前を呼んでみた 2 ページ12
(３)：伊沢さん
もう卒業か。早いなあ。
不思議なもので大人になると、時間の流れがとても早く感じるようになった。
ここで過ごしたことは、一生忘れないであろう。
袴を着た同級生に写真を撮ろうと言われ、複数のグループと撮影をした。毎日大学に行けば会っていた彼らとも、今日でお別れだ。
―――もちろん、君も例外ではない。
君も他の人と同じように、今日でさよなら。
なんて、嫌だ。
｢A｣
｢ん？｣
さよなら、 またね ではなくて、君の名前を呼んだ。
だってまた、会えるだろう。
再会するときは、また同じように呼んであげる。
(４)： 鶴崎さん
｢こんにちは。初めまして、Aさん。鶴崎です｣
初めまして、の挨拶とともに君の名前を呼ぶ。
｢こんにちは…？｣
君は驚いているのか、僕を見つめて瞬きを数回した。
顔を合わせるのは、今日が初めてだけど。
――――出会う前から、知っていたよ。君のこと。
(５)： 水上くん
〇若干 pink要素を窺わせるような表現をしていますので苦手な方はブラウザバックしてください。
｢A｣
薄暗い部屋で、君の名前を呼んだ。
｢はい、｣
とやけに堅い声を出す君は、自分の手のひらで、自分の目を隠している。
｢……緊張してる？｣
自分も緊張していたが、悟られないように振る舞う。
｢……少しだけ｣
大丈夫？怖かったら言って。
そう声をかけ、君に口付けをした。
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作者名：れもんちょこ。 | 作成日時：2019年10月7日 15時
