岸くん短篇 (ページ33)

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青い恋人4 ページ33

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『あの着信なんだった？ごめんな、出れなくて』

「んーん。なんでもないから切ったんだよ」

『なんかあったから１回で切ったんだろ。なに話せねぇの？』

隣のブランコに座ると、下を俯くA

「………振られた」

『あ、こないだの合コンの？』

「いい感じだと思ってたのは私だけでね。友達だって言われた。彼女にするのはって」

月の光で光る、膝の上に落ちる涙

それを見て思ったのは

もうこいつのこと、泣かせたくない

泣くなら……俺の腕の中で泣いて欲しい

立った途端にブランコのチェーンの音が響く。

『A』

ぽろぽろと涙を零すAの目の前にしゃがんで

「………」

Aの顔を手で包み込んで、指で涙を拭う

大きい手だよねって言われる俺の手はこのためにあったのかもしれない

『ごめん。この状況で言うのずりぃとは思うけど。Aのことが好きだ。
俺が誰よりもAのこと分かってっし、傍にいたし………
これからもずっと傍にいるし幸せにする。
だから……幼なじみじゃなくて恋人になってほしい』

「………優太ずるいよ」

『ごめん』

「私ずっと優太のこと好きだったのに。
でも優太は幼なじみとしか見てくれないし、なんなら恋愛相談とかされちゃうし……
もう見込みないと思って合コン行って、この人なら忘れられるかもって思った人には振られるし。
もうずるい！！！！！」

『………わりぃ』

「でも嫌いになれないし、むしろ告白されてめちゃくちゃ嬉しい」

『うん』

「たぶん」

『なに』

「私しか優太の彼女になれないよ」

『俺も彼女はAしか考えらんねぇよ。待たせてごめん』

「めちゃくちゃ待ったよバカ」

『バカバカ言いすぎだろ』

「だって……」

『もう黙れ』

ずっといっしょにいて

生まれて初めてAの唇に触れた

「優太とキス……」

『照れんなこれ』

手で包んだままの顔が熱い

『もうさ……その男と連絡取るのやめろよ』

「うん」

『……帰るか』

「だね」

手を離そうとすると

「優太」

だめだ

俺はその声に弱い

俺だけが聞けるその声

「ゆう……」

誰にも聞かせたくなくてまた唇を塞いだ。

今までもこれからもお揃いの未来

作っていく、2人で。